ACE OF SPADESの好きなところ100
去る12月8日のEXLE TAKAHIRO氏のお誕生日に際して、彼の好きなところを100個挙げておられる方がいた。
それがとても愛に溢れていて素敵だったので、してみむとてするなり、という記事です。
ACE OF SPADESの好きなところ100
- バンド名が格好いい(スペードのエース、切り札、その響きが嫌いな人間がいるだろうか)
- メンバーが最強(GLAYのHISASHIにEXILEのTAKAHIRO、TOKIEにMOTOKATSU、こうして名前を並べているだけでワクワクする)
- 音が最強(とにかく演奏が巧ぇ)
- 金がある(ZEPPの1stツアーでレーザーとスモークをフル活用する)
- 資産がある(前項もそうだが、團長に直LINEできる人脈とか、母体の名前で人を集められる歴史の重みとか)
- それを武器とすることに全く躊躇しない(彼らが彼ら自身の歩んできた道を愛しているからだなあと思う。「GLAYの曲、EXILEの曲、やります!」は宇宙一格好いい宣戦布告)
- GLAYとEXILEのことを全面的に信じている(AoSのことは知らなくても、GLAYやEXILEの曲なら皆知っていると思っている)(実際それは真なのだが、属する本人達が誰よりもそれを信じているの、気持ちいい)
- VoGtBaDrの4ピースバンドである(無駄なく、余剰なく、シンプル故に強い編成のひとつだと個人的に思う)
- 絵面が天才(HISASHI-TOKIEの横のラインとTAKAHIRO-MOTOKATSUの縦のラインで揃えようと考えた人、つまり谷やんこと谷崎氏は天才)
- HISASHIの曲がいい(キャッチーで、ビビッドで、たった二曲でAoSというバンドを見事なまでに描き切っている)
- TOKIEの曲がいい(ダークでラウドな音、響く重低音、めちゃくちゃイカしている)
- TAKAHIROの曲がいい(流石ボーカルの曲、というメロディアスさ、抒情性、そしてAoSという場所に於ける良い意味での異質さ)
- Audio2audioの曲がいい(懐かしさや安心感と、ダーティーなワイルドさの絶妙なバランス、そして雨宮兄弟を誰よりも理解しきった2曲、匠の技)
- HSIASHIのギターがいい(ゼマイティスのRising Sunイントロと、ジャーニーマンのVampireのカッティングが死ぬほど好き)
- TAKAHIROのボーカルがいい(EXILE仕込みの甘く正確な歌声から放たれる吼えるような低音や高らかなシャウト!)
- TOKIEのベースがいい(Lookin’ forのサビ前ベースは絶対死ぬ。涼しい顔で微笑みながらエッグい指弾きするから脳がバグる)
- MOTOKATUのドラムがいい(スネアの抜けの良さがめちゃくちゃ華やかでめちゃくちゃ好きです。LAST NIGHTのドラムロールは静かだけど迫力があって聴き惚れるし、ALL TIME BESTの練習タイムのテンポキープ毎回ビビり散らかす)
- コンセプチュアルでシックな衣装(GLAYは四者四様の装いだし、EXILEはもっと色鮮やかな服が多いから、AoSのステージの全員が黒でまとめた大人っぽい意匠が新鮮で格好いい)
- 珍しく濃いめのアイメイクが見られる(リーダーはわりといつも通りですけど、後の三人のバチッとしたメイクはレア)(アイメイクは濃ければ濃いほどいいと古事記にも記されている)
- 1stアルバム、ツアーのタイトルが格好いい(「4REAL」をここに持ってくるセンスよ)
- 1stシングルのタイトルも格好いい(異なるルーツを持った4人が集まった民族音楽、故に「WILD TRIBE」、という表現が好きすぎる)
- あらゆる音楽へのリスペクトで織り上げられている(そしてそのリスペクトが唯一無二のクリエイティブな個性となっている)
- デビュー時の初々しさから現在の貫禄のステージへの変遷(その姿を追うだけで高揚するし、きっとこれからもずっと彼らの変化に胸を高鳴らせることができるのだろうと思える)
- リーダーをしているHISASHIさんが格好いい(めっちゃ喋るしめっちゃ頼もしいしAoSのリーダーがHISASHIさんであることに圧倒的感謝……と週一で思う2019年です)
- “バンドのフロントマン”としてその期待に応え続けるTAKAHIROさんが格好いい(誇張抜きに一公演毎に”AoSのフロントマン”になっていく4REALツアーのTAKAHIROさんは凄まじかったですね)
- 下ネタ言い過ぎて叱られているのは可愛い(リーダー、「この人裸族なんですよ!」って言ってたけど、エグザイル一族的にはバックヤードで裸族はデフォなんだよなあ)
- AoSのTAKAHIROの下ネタはEXILE時より酷いに違いないというGLAY側の謎の風潮(なんで?)
- 「金玉の話はやめろーっ!」(TAKUROの最高にイカしたソロライブの翌日)(関係者席から2000人に向かって放たれる渾身の肉声)(あの公演に限っては戦犯はフロントマンではなくリーダーだと思う)
- 酷い下ネタの嵐の中でさりげなく一番爆笑してるTOKIEさん(でも直接振られたら涼しい顔でスルーする)
- 雨宮兄弟を召喚できる(「雨宮兄弟見たいですよね!」見たいー!)
- 円陣をしない、代わりにそれぞれにハグをする(AoSというカタチを象徴するような儀式で大好き)
- TAKUROさんから直々にTOマウントを受けることができる(勝てない)
- TOKIEさんの歌声がいっぱい聴ける(Vampireは勿論、Rising Sunの上ハモがマジで好き)
- TOKIEさんのタトゥー姿が見られる(ハイローライブ。超絶イカす)
- TAKAHIROさんの前髪が高確率でおりている(三四郎さんヘアメだと高確率で額が見えるので、谷やんヘアメだ……になる)(どちらも最高)
- MOTOKATSUさんのお茶目トークが聞ける(トシャカが来る日とSUGIZOさんが見に来る日は気合入ってるとバラされるMOTOKATSUさん可愛い)
- フリートークの空気(可愛い)(ラジオでもオーコメでも生配信特番でもなんでもいいからお願いします)
- エンジニアが小西さん(音が好み)
- 今からハマっても追いつきやすい活動量(アルバム1枚と円盤1枚! 沼るなら今がチャンス!)
- 反面、掘っていけばいくらでも掘り進められる奥深さ(彼らが彼らを形作ってきた全てに対する敬意をあらわし続けるがゆえに)
- 邦ロックはもちろん、洋ロックにJ-POP、メジャーシーンにアンダーグラウンドシーンと、あらゆる方向にフックがある(そしてそれが同時に、それぞれの入り口から入ってきたファンを他の世界へと繋げる架け橋にもなっている)
- メンバーがそれぞれの場所で活動してきた全てがAoSの中にある(メインバンドでないからこその厚み、あると思います)
- 飽くなき向上心と特攻精神(LDHのライブでガチガチのロックをやり、氣志團万博にまで殴り込みをかける)
- 楽曲の幅広さ(VampireやNOW HEREのようなキャッチーオブキャッチーから、妄想のようなグランジっぽいヘヴィーな音、TIME FLIESのミクスチャーロックまで)
- でありながら、貫かれる揺るがないポップさ(ポピュラリティ、と言ったほうが正確かもしれない。本気の音ながら、決してマニアックになりすぎず、聴きやすい)
- 現場を重ねるごとに仲良くなっていることが伝わってくるメンバー達(4REAL→氣志團万博バクステ・道の駅神奈川の間に何が)
- 全員がキャリアのあるミュージシャンであるが故の多彩なゲストとの共演(ひとつのツアーでINORANと登坂広臣とTAKUROとTERUとのセッションが見られるバンド、凄い)
- 未来への約束をしてくれる(GLAY25周年とLDH PERFECT YEARを踏まえた上で「新曲あるし、数日あればレコーディング出来るし」と断言してくれる優しさ、強さよ)
- 立ち位置から動かないリズム隊と、縦横無尽に動き回るHISASHI-TAKAHIROの対比(12年のお披露目ライブの時のTOKIEさんの、「気付いたらHISASHIくんとTAKAHIROくんの背中が遠かった」という証言が良い)
- 必然的に、ステージに花道があった場合、リーダーとフロントマンが並んで歩くことになる(ハイローライブ、そして氣志團万博)(AoSがアリーナ以上でライブをやる暁には絶対花道を作ってほしい委員会)
- 全員の不断の努力の上に成り立っているバンドであるところ(全員それぞれの人生で大切にしてきたものがあって、その上で、AoSをやることを選んだ、選んでくれた、そういうところ)
- その上で、この4人がこの4人であるからこそ意味があるんだ、と叫んで活動してくれるところ(“4REAL”!)
- GLAYとEXILEへの尊敬と矜持と愛(リーダーとフロントマンがAoSでこの音を出すに至るまでのGLAYとEXILEでの軌跡のことを、もっと知りたくなる)
- 最新アー写がマジで超アツい(ステッキ、ロングコート、ヘッドドレス、乗馬ブーツ、1億点)
- ラジオに出るとリスナーに優しくない(TERU ME NIGHT GLAYのAoSジャック回を聴いたTERUさんの評)(可愛い)
- Rising Sunのパフォーマンスになると一気にEXILEの顔になるTAKAHIROさんが可愛い(こっちもついイントロで人差し指を高く掲げてしまう)(仕方ないね)
- 4REALツアー札幌ファイナルで、グロリアスになった瞬間GLAYの顔になるHISASHIさんも可愛い(その後、ゼマイティスからジャーニーマンに持ち替えて2度目のVampireを弾いた瞬間AoSのリーダーに戻るのは世界一イケだった)
- 時々発生する異文化交流(下ネタの度合いとか4REAL事件に対する温度感とか……)
- X JAPANより早くアルバムを出した(流石)
- アンコール(エーオーエス!エーオーエス!って叫ぶの楽しい)
- GLAYERとfamで客層が混沌としている(誰も! AoSに於ける現場仕草の正解を知らないのである!)(これから我々で創っていけるものがある、と思えるのは、とても素敵なことだなあ、と感じる)
- 上手ベース、下手ギターの配置(わりと珍しくて、目を惹く要素の一つになっている)(リーダーのGLAYでのポジションをそのまま持ってくるの、エモい)
- JUST LIKE HEAVENでHISASHIとTAKAHIROが向かい合うところ(激アツ)
- HISASHI・TOKIEのコーラス(そもそもバンドに於ける楽器隊のコーラスが好きなんだけど、AoSのコーラス、本当に耳馴染みが良くて聴き惚れてしまう)
- グッズの購入先が二箇所ある(G-DIRECTとEXILE TRIBE STATION)(地味に便利)
- 告知もGLAY公式とEXILE公式の両方に載るが、言い回しが微妙に異なる(見比べると楽しい)
- そもそも初ライブがドーム(その後の初ツアーも帯同とはいえドーム)(規模がわけわからん)
- 購入者限定ライブは流石に恵比寿LIQUIDだったけど、全国ライブビューイングが入った(規模がわけわからん)(わけのわからない規模のデカさ、好き)
- その上で、初ワンマンツアーをZEPPでやるところ(誠実に真剣に“バンド”をやろうという強い意志!)
- TAKAHIROさんのMCにHISASHIさんが丁寧に相槌を打っているところ(リーダーとしての誠実さ)
- 結成時にGiGSの特集で付けられた、「Midsummer Rock’n Dream feat.HISASHI」というキャッチコピー(「真夏のロックンロールの夢」、なんてAoSを的確にあらわしているんだと思うし、再始動後の4REALというアルバム名にも繋がって本当に美しい)
- 1stアルバム「4REAL」を、最高のアー写と最高のアルバム名で世にリリースしたと思ったら、シールを貼るところがなくてタイトルの上に貼られてしまったところ(可愛い)(確かに顔の上に貼るわけにはいかないしな……)
- スペードのエースという一般的なモチーフを掲げて勝ちに行っているところ(彼らの自分達の実力への確かな矜持に基づく自信はとにかく眩しく格好いい)
- モチーフとなる色が赤と黒と白(一番好きな意匠は4REALのジャガードフェイスタオル)
- バンド内で交わされる打てば響くようなキャッチボール(リーダーがバンドの楽しさを知ってほしいと曲を書き、フロントマンがバンドは楽しい!になるところとか、フロントマンのフェスとか出たい発言で実際にリーダーがフェス出演を打診するところとか)
- 全員が確実にAoSを楽しんでいる(例えば、実現不可能だとわかっていながら「追加公演やりたい」と語り合う程に)
- ACE OF SPADESの4人のグループLINEがあるらしいところ(そしてたまーにMOTOKATSUさんがやりとりを教えてくれるところ)
- 意気投合や音の相性の良さ等が発端ではない、本当にゼロからのスタートだったところ(企画先のプロジェクトだったところ)
- 上項のように、初期は限りなく概念だったのが、どんどん生きたバンドになっていっているところ(ステージがあるたびにパフォーマンスに血が通っていっているのが感じられるところ)
- TAKAHIROの覚醒が目覚ましいところ(バンドマンとしても、ボーカリストとしても)(SINのロングトーンとか、聴くたびにエグくなっている)
- HISASHIのストーリーテリングを思う存分味わえるところ(彼は本当に物語を紡ぐのが上手い)
- HISASHIの使うFX IIIの音をいち早く聴けるところ(新しいことに挑戦してその戦果を持ち帰る、試し斬りの場として機能しているところ)
- 夏のバンド(GLAYがどちらかといえば冬のバンドっぽいこととの対比)
- 4人にそれぞれモチーフとするカードが割り当てられている(オタクはそういうのが好き)(スペードのエース、ハートのクイーン、クラブのキング、ジョーカー)
- 曲を止める時のTAKAHIRO-MOTOKATSUのアイコンタクト(笑顔!)
- ライブで表拍でノってる客を裏拍で煽るTAKAHIRO(難しい)
- 氣志團万博のVampire、ドラム周りに集まって「色めく本能」のリズムを合わせる楽器隊(気持ちいい)
- VampireのCメロのTOKIEのベースの音(美しい)
- Ace of SpadesのHISASHIのギターソロ(クソエモい)
- JUST LIKE HEAVENのラストのTAKAHIROの声の伸び(ビビる)
- WILD TRIBEのイントロのMOTOKATSUのドラム(“勝ち”を確信する)
- それぞれに確かな経歴を積み重ねてきているプロ達が、それぞれの“初めて”や“念願”を託す場所であるところ(ゼロからバンドを立ち上げるのが初めてだったり、ギターが一本のバンドが初めてだったり、ボーカルのいるバンドがやりたかったりするところ)
- 1stツアーの最中に、「次は吐くまで腹いっぱいにさせる」と宣言してくれるところ(あのツアーだって十分にお腹いっぱいだったのに、楽しかったのに、まだ先が“ある”なんて!)
- 1stアルバムの特典がチケットホルダーだったところ(“バンド”だ!)
- HISASHIリーダーの再始動宣言(「各々の活動の闇にだけ生まれる爆音への招待状」という表現、定期的に読み返しに行くくらい大好き)
- プリミティヴでピュアな初期衝動(彼らほどのプロフェッショナルが、ただただひたむきに、“バンドは楽しく、俺たちはバンドをやる”が詰まっているのが、心から愛おしい)
- 最新が最高であるところ(素晴らしい)
- バンドであるところ(それ以上の言葉が必要だろうか?)
- 祈りであるところ(それ以上の言葉が)
- 愛であるところ(はい)
以上です。
誰が”ROCK STAR”か?
ロックバンドACE OF SPADESに関する幻覚を3万文字分延々と連ねた謎の長文(https://asahi771.hatenablog.com/entry/2019/10/11/191910?_ga=2.52482088.1815978842.1571734854-1939229228.1570718126)を書いた時、リリースが予告されていた(2019年10月11日時点)TAKAHIROの配信シングル「YOU are ROCK STAR」について、わずかに触れた。
投稿後、「楽曲を聴かずに何かを語るのは不誠実ではないか」と思ったので、配信された曲を聴いて、思ったところを少しだけ追記した。
これで私の幻覚のすべては書き切った。認知の正しさはさて置いても、私が言語化できることは全部記したし、これ以上喋ることはない。私の“夏”は終わった、と、一区切りつけた。
筈だった。
2019年10月20日、TAKAHIROのLINE LIVEを観るまでは、である。
TAKAHIRO:僕のロックスターは誰なのか。
具体的なロックスターを想定して作られているのマジ!?(スペースキャット)
「YOU are ROCK STAR」という楽曲にEXILE TAKAHIROのロックンロールを感じていた私にとって、由々しき事態である。解釈を根本から練り直さなければならない。
全然すべてを書き切ってなんかいなかった。
私の想像の及ばない鉱脈がそこにはあった。
勝手に終わらせて満足している場合じゃねえ。
というわけで、動揺のままにEXILE TAKAHIRO「YOU are ROCK STAR」について考えていくだけのエントリーです。
ACE OF SPADESに関して書いたエントリーの中で、私は構成を「私の見たACE OF SPADESの物語」と「ACE OF SPADESを見た私の物語」に大別しましたが、今回のエントリーはどちらでもありません。
言うなれば、「YOU are ROCK STARをどうにか物語として理解しようと足掻く私の脳内垂れ流しメモ帳」です。
一節 YOU=俺=TAKAHIRO説
まず、配信された後の私の感想を振り返ってみる。
(10月16日追記)
「YOU are ROCK STAR」が配信されたので。
印象的な重いギターリフに、サビで甲高く鳴り響くシンセの音。彼のルーツとする全てを孕みながら、そのどれとも似通ってはいない、EXILE TAKAHIROによる、EXILE TAKAHIROのための、EXILE TAKAHIROのロックンロールがそこにあった。
彼がかつて焦がれた”ROCK STAR”の魂は、ACE OF SPADESを経た2019年10月、確かにTAKAHIROの中に、彼自身のものとして宿っている。
(追記ここまで)
なんか言ってらあ。
この通り、私は「YOU are ROCK STAR」を聴いて、EXILE TAKAHIROがEXILE TAKAHIROとして固有のロックスタイルを確立させたのだと感じ、そのことを喜ばしいと思った。
TAKAHIROが聴いてきたのであろう90年代のロックを思わせるサウンドでありながら、サビではキャッチーなシンセが鳴り、EXILE的な、ポップス的な色も確かに伺うことができる。
EXILE TAKAHIROがソロとして歌った初めてのロックは、「GLORIA」、ZIGGYのカバーであった。二曲目は、「Irish Blue」。これがTAKAHIROの「GLAYのような楽曲を歌いたい」という思いからTAKUROによって生み出されたものであることは、インタビューでも語られている。
TAKAHIRO:TAKUROさんの作る『グロリアス』や『BELOVED』のような、GLAYさんのキャッチーなメロディが大好きなんです。そんな曲を自分の声で歌いたくて、今回お願いさせていただいたんですが、TAKUROさんも「かわいい弟のために頑張るよ」と快く引き受けてくださいました。
(Mens JOKER「新作ミニアルバムの制作秘話や2018年に再始動するEXILEの活動への思いをたっぷり語るEXILE TAKAHIRO インタビューWEB特別版」、2017年12月20日付)
そして2019年、EXILE TAKAHIROが満を持して放ったロックンロールは、カバー曲でも、GLAYのTAKUROの提供曲でもない、TAKAHIROが木島靖夫と共に作曲し、自ら作詞を手掛けた「YOU are ROCK STAR」である。
それを私は素晴らしいことだと思ったし、そのような楽曲を生み出せるTAKAHIROというミュージシャンについて、凄いなぁと思った。
二節 ”僕のロックスター”は誰なのか
リリースから4日後、2019年10月20日、「EXILE TAKAHIROリリース記念LINE LIVE」が配信された。
番組内でTAKAHIROは「YOU are ROCK STAR」について、このような発言をした。
TAKAHIRO:このタイトルの意味はですね、そのまま、「YOU are ROCK STAR」。これには、ちょっとこう、実は、逸話というか、まあ、まだ話していない秘密があるんですけど。まあこれクイズ形式じゃないんですけど(笑)。
あのー、「YOU are ROCK STAR」、そのままですよ。“誰に向けて書いてる”のか。……これね、まだお話ししたことがないです。「TAKAHIRO道の駅」でも話したこともないですし。先日、ようやくあのー、身近なスタッフの人たちにも、ようやく話したくらいで。まあ勿論、知ってる人はいないと思います。はい。
だから、誰に宛てて、僕のロックスターは誰なのか。まあこれをあの、コメントでも、ね、クイズ形式じゃないんですけど、当てていただければありがたいなと思うんですけど。難しいですよ。(中略)
でも結構正直言うと当たってる人多いです。これ歌詞の意味をね、今一度こう、紐解きながら、聴いていただけると、大体、わかっていただけるかなと、思います。
……。
……。
……!?
“誰かに向けて書いてる”んですか!?
“誰”に!?
「YOU are ROCK STAR」のEXILE TAKAHIRO性に着目していた私の中に、この楽曲が具体的な誰かに宛てて書かれたものであるという発想は全くなかったので、それはもう驚いた。
放送開始から10分足らずで顎が外れるほどにあんぐりと口を開き、しかも、TAKAHIRO氏が結局答えを言わずに終わったものだから、顎を戻すタイミングまで失った。
まだ口は閉じていない。
……まあ、配信を見ていた人ならおそらく大体がそうであったように、想像はできる。
というか、答えはひとつしかないだろう。
GLAYである。(わざわざ改行してまで強調する意味、ある?)
明言されていない以上、元職場の美容室の同僚達である可能性も、THE ALFEEである可能性もあるが、まあ、GLAYでしょう。多分。
それを踏まえて歌詞を見ていくと、なるほど、と思うところはある。
「誘惑」のメロディーに
その「鼓動」を響かせ
芽生えた「生きがい」に
これらは言うまでもなくGLAYの名曲のタイトルである。或いは、「Dreamer」「牙」「果てなく」「Soul」あたりもそうかもしれない。
そして、補強する材料というならば、リリース前からその情報は我々の眼前に公開されていた。
GLAYの25周年に際して発行された、2019年7月発売のムック本『GLAY DEMOCRACY 25TH BOOK』に寄稿されたTAKAHIROのコメントである。
僕の人生はGLAYの曲と共にあると言っても過言ではありません。
まさに僕にとって“ROCK STAR”です!!
……なるほどね?
三節 誰が“ROCK STAR”か?
EXILE TAKAHIROの“ROCK STAR”はGLAYであり、「YOU are ROCK STAR」はGLAYに向けて書かれた楽曲である、と仮定する(どんなに真実味が高くても、明言されていない以上は、我々は仮定するしかない)。
それでも、その上で、私は私のために、私の感じたものを明らかにするために、悪足掻きとして「YOU are ROCK STAR」とは何のことなのか、“ROCK STAR”とは誰なのか、考えていきたい。
ZIGGYのカバー曲である「GLORIA」、そしてGLAY TAKUROの提供曲である「Irish Blue」を経た、EXILE TAKAHIROが自ら曲を書いたオリジナルのロック、「YOU are ROCK STAR」。
TAKAHIROの音楽的ルーツの主要な位置をGLAYが占めていることは、ACE OF SPADESのインタビューでも述べられている。
TAKAHIRO:まずギターのコードとメロディを考えたんですけど、恥ずかしい話、どうしてもGLAYさんっぽくなってしまって(笑)。(中略)作ってるときに「あれ? こういう曲、GLAYさんになかったっけ?」と思って、アルバムを聴き直したり(笑)。10代のときからずっと聴いているし、ファンなので。勝手にそうなってしまうというか。
(Real Sound「 TAKAHIRO×HISASHIが語る、ACE OF SPADESの軌跡「メンバーの結束も強くなった」」、2019年3月9日付)
“自然と気持ちいいように作曲をするとGLAYっぽくなる”というTAKAHIROの発言は、随所に見られる。
それに従えば、EXILE TAKAHIROがEXILE TAKAHIROとして一からロックを作ろうと思った時、それがGLAYを思わせる楽曲になるのは、自然なことである、と言える。
そこで効いてくるのが、「YOU are ROCK STAR」の共作曲者である木島靖夫の存在である。
TAKAHIRO:最初に木島さんに、楽曲のテーマとなるギターのリフを考えていただいた上で、素敵なコードを作っていただいて。そこに、自分がメロディーと、そして歌詞を乗っけて。
と語られているように、「YOU are ROCK STAR」のコード進行は木島靖夫の手によるものである。
ところで、TAKAHIROのコードに関する価値観がわかる発言の中に、興味深いものがある。
2019年5月9日にLDH TV内で配信された、「『僕に、会いたかった』映画公開記念~TAKAHIRO×秋山真太郎スペシャルトーク~part.2」である。
TAKAHIRO:逆に言うとインストだけって、メロディ乗っけなければインストだけにはなるけど、インストはインストなりの作り方って、絶対的に出てくるから。
秋山:いや聴いてみたいなと思って。単純に。俺インスト好きで。(中略)インストってその中でめっちゃ展開してるわけよ。いい曲って。
TAKAHIRO:そう、展開が結構大切になるんで。メロ、歌モノって、俺が特に好きなのは、案外、オケに、そこまでの展開がないものに、メロと歌詞でめちゃくちゃ展開つけていくっていうのが多くて。だから曲だけ聴くと案外訥々としている、っていう。中に、歌が引き立つような作り方をしがちだから。インストありきは考えたことなかったな。
秋山:TAKAHIROが作曲してきたインスト集とか聴いてみたいけどね。
TAKAHIRO:でいうと、俺のおすすめは、GLAYのTAKUROさんが、出したアルバムがあって。ソロで。は、ほぼほぼインスト。TAKUROさんは、ギタリストとして、インストイメージ、インストを中心としたアルバムを作ってて。それはよかった。(中略)でもインスト作れるって、相当な、コードの数とか、洒落た展開の仕方とか、もうとにかくギタリストピアニスト、そういう楽器やってる人たちのほうが、絶対的に強いと。(中略)だからあれかもね、相当楽器のプロ、長年やってる人とかじゃないと、なんかもう、胸張って出せるもんじゃないと思う。インストは。
これはインスト曲に対する会話であり、「YOU are ROCK STAR」はインスト曲ではない。
それでも、TAKAHIROが、「長年やってる相当な楽器のプロ」であり、おそらくは「コードの数とか洒落た展開の仕方とか」を数多く知っているであろうギタリスト、木島靖夫と共作曲という形をとったことは、非常に示唆的だ。
TAKAHIROが自分でコードを書いたとき、それは彼のルーツから、GLAYを思わせるものになる可能性が高い。
しかし、木島靖夫がコードを書いた曲は、きっとそうではない。
木島靖夫がコードを書いたロックンロールは、その上にEXILE TAKAHIROがメロディを乗せ歌詞を書いたロックンロールは、たぶん、EXILE TAKAHIROのロック以外の何物でもなくなる。
TAKAHIROは、2017年に「GLAYみたいな曲を歌いたい」と願い、TAKUROに作曲を依頼した。
今回もまた“GLAY”を目指すのであれば、再びGLAYのメンバーに曲提供を依頼することも、自分で体に染み込んだ気持ちのいいコードを書くことも出来ただろう。
しかし、そうはならなかった。
TAKAHIROは、「YOU are ROCK STAR」については、木島靖夫のコードと共に作曲をすることを選んだ。
それゆえに、私は敢えて断言したい。
「YOU are ROCK STAR」は、EXILE TAKAHIROのロックンロールだ。
ZIGGYのカバー曲を歌い、GLAYらしい曲の提供を受けて歌ったTAKAHIROが、三曲目に繰り出したロックは、“GLAYらしさ”を求めたものではない、木島靖夫という最高のミュージシャンと共に作り上げた“TAKAHIROらしい”ロックだ。
「YOU are ROCK STAR」をGLAYに宛てた楽曲として歌詞を見ると、興味深いのは、その言葉が一方的ではないことである。
お前と生きる未来<ユメ>を
にあらわれるように、対象と共に在り続け、共に走り続けることを、歌詞は歌っている。
TAKAHIROはGLAYのファンであり、GLAYはファンに誠実に寄り添うバンドである。
それを世界で最も知り、信じている人間の中のひとりがTAKAHIROであることは、おそらく間違いのないことであり、これらの歌詞は彼のそういった実感から来ているものかもしれない。
しかし、そう思った時、私は同時に、TAKAHIROがアーティスト、ミュージシャン、ボーカリストでもあることを考える。
EXILE魂に、ドリフェスに、ルナフェスに、EXILEであるTAKAHIROは何度もGLAYと共に歌っている。
そしてACE OF SPADESでは、ロックバンドのフロントマンとしてHISASHIと音を重ね、札幌ファイナルにおいてはTAKURO・TERUともセッションをしている。その時TAKAHIROは、EXILEであり、なおかつバンドマンであった。
TAKAHIROは、GLAYのファンでありながら、GLAYと同じステージに立ち、GLAY×EXILEを、ACE OF SPADESを、「Irish Blue」を、その他の様々な機会を通して、GLAYから直接ロックの、バンドの魂を受け取っているミュージシャンでもある。
つまり——TAKAHIROは、ファンとしては勿論、ミュージシャンとしても、GLAYと同じ道を、未来を、見ていける人間である。
これらの歌詞は、そういった立場にあるTAKAHIROだからこそ叫べる言葉達なのであると、そのように読むのは、思考が滑りすぎかもしれないが。
TAKAHIRO曰く、「YOU are ROCK STAR」は“TAKAHIROのROCK STAR”に宛てた歌だ。
一方で、彼のロックスターに歌いかけるTAKAHIROもまた、ロックスターなのだとここで断言することに、私は全く躊躇しない。
ソロワークを何度も共にしてきた信頼できるパートナー、木島靖夫と作り上げた「YOU are ROCK STAR」は、確かにTAKAHIROをロックスターに押し上げるだけの力を持った楽曲であると、私は思う。
TAKUROは、ACE OF SPADESについて、「スッキリ」内でこう言った。
「これを見て、バンドやりたいと思う子が増えるんじゃないか」(みたいな感じのこと)。
かつてGLAYというバンドに憧れた少年は、今や憧れられる最高のロックバンドのフロントマンでもある。
「YOU are ROCK STAR」。
お前こそがロックスター。
だからやっぱり、歌われているROCK STARは、きっとTAKAHIROのことでもあるのだ。
TAKAHIROがロックスターであり、ロックスターとなったからこそ、彼が“彼のロックスター”に投げかける歌は、同じステージに立ち同じ道を追求する同志から発せられる言葉として、大いなる意味を孕み、輝きを増して我々の耳にも届く。
つまり何が言いたいかっていうと。
「YOU are ROCK STAR」、超格好いいよね。
取り急ぎそんな感じの結論で、ひとつ、どうでしょうか?(?)
ACE OF SPADES考
まず断らなければならないのが、この文章は評論やそれに類するなにかではない、ということです。
本稿は、2019年という一地点において、ACE OF SPADESというバンドを、ACE OF SPADESというバンドが存在するこの世界を、筆者がどのように歪ませた認知でもって捉えていたか、それを出来る限り記した備忘録のようなもの、なのだと思います。
本稿には様々な雑誌、インタビュー記事、MC、ラジオ等の引用がありますが、それらの網羅性・正確性を保証するものでも、解釈の妥当性を主張するものでもありません。
それでも最初は体裁だけでもレポートっぽくしようと努力していた節がありますが、章を追うごとに筆が滑り、客観性が失われていく仕様です。
ACE OF SPADES考
はじめに
ACE OF SPADESは、2012年に期間限定プロジェクトとして始動したロックバンドである。
HISASHI(g/GLAY)をリーダーとして、TAKAHIRO(vo/EXILE)、TOKIE(b/HEAetc)、MOTOKATSU MIYAGAMI(dr)の4名からなるこのバンドは、2019年春に7年目にして初のワンマンツアーを成功させ、夏には初の野外フェス出場も果たした。
本稿では、日本音楽界のアベンジャーズとも評されるこのスーパーバンドについて、リーダーとフロントマンに焦点を当てながら幻覚を見ていくことを目的とする。
一章 ACE OF SPADES概説
一節 ACE OF SPADES前史、GLAY×EXILE
本章では、ACE OF SPADESがどのようにあらわれてきたバンドであるのか、概要を纏めていきたい。
まず、ACE OF SPADESのリーダーとフロントマンの母体である、GLAYとEXILEの関係性について記述していく。
GLAY×EXILEとは、ロックバンドGLAYとダンス&ボーカルグループEXILEによる2005年のコラボレーションプロジェクトである。「期間限定GLAY×EXILE OFFICIAL SITE」には、
DANCE&VOCALユニットであるEXILE、そして日本に存在するバンドの中で頂点に君臨し続けるGLAY。
両アーティストのお互いの音楽、そしてエンターテイメントに対するリスペクトから始まった豪華プロジェクトによる SINGLE(DVD付)がリリースとなります。
楽曲は共同プロデュース、ヴォーカルは勿論EXILEのATSUSHI/SHUNとGLAYのTERU、そしてサウンドはEXILEのダンスが映えるアレンジのGLAYによるバンド・サウンド、という真のコラボレーション!
という煽り文句が記されている。GLAY×EXILEが2005年7月20日に発売したシングル「SCREAM」は、オリコンの2005年度年間5位の売り上げを達成した。
GLAYのファンクラブ会報誌『HAPPY SWING』37号には、GLAYのリーダーTAKUROとEXILEのHIROの対談が掲載されている。それによれば、
TAKURO:普通に飲んでたんですよね、最初は。それで…。
HIRO:意気投合しちゃったんですよね、一遍に。
と、TAKUROとHIROが飲み友達となったことが全てのきっかけであったとされている。TAKUROはこの中で、「2003年の10月とかそのくらい」から「一緒になにかやりたいね」と話をしていたと述べている。
この対談で注目すべきは、GLAY×EXILEというプロジェクトについてのHIROの言葉だろう。
HIRO:いわゆる、アーティスト同士のコラボレーションとは、明らかにレベルが違いますからね、今回のこのプロジェクトは。単純に一緒にやるっていうのではなく、全員が完璧な1つのチームになった。僕の意識の中では、GLAY×EXILEっていう10人のアーティストによる、新しいグループがここに生まれたっていうくらいの気分なんです。(下略)
TAKURO:そうですね。これまでにも、いろんな形で他のアーティスト達とコラボレートしてきたけど、今回のような経験はさすがに初めて。完璧なゼロから2つのグループが1つになって、この作品を作ってしまったわけですから。(下略)
この通り、GLAY×EXILEは、ふたつのアーティストがコラボレーションしたものではなく、“GLAY×EXILE”というひとつのグループを誕生させるプロジェクトであったのだということがわかる。このコラボレーションについて、HIROが「お互いに全然違うからこそ、それが真っ正面からぶつかった時に、新しいものが生まれるんだ」と語ったという旨が、対談にはある。
一方TAKUROはその中で、「良い曲を目指しているということでは、EXILEとGLAYはすごい近かったりするんですよ」とも語っている。これらの言葉からは、両者がGLAY×EXILEというプロジェクトに強い手ごたえを感じていたことが読み取れる。
面白いのは、この新しい形での融合を目指したコラボレーションに至るまでは、僅かばかりの期間があったらしいことである。
HIRO:ここで正直なこと言ってしまうと、その最初の頃にTAKUROさんと、「なんか一緒にやろうよ」って話になった時は嬉しかったけど、俺が言っている意味が伝わってないだろうなとも思ってました。(中略)俺が考えていたのは、ある意味もっと全然“手間のかかる”本当のコラボレーションだから。
ツーマンでライブをやったり共にレコーディングをしたりする“普通の”コラボレーションを超えたものを念頭に置いていたHIROは、TAKUROに何度も話をしに行ったという。そしてそれを受けたTAKUROは、「HIROさんとアイディアとか言葉が、俺があの頃ずっと感じてた閉塞感に風穴を開けてくれたんです。そこから、太陽の光が射し込んだ感じがした。」と語る。
解散の危機を乗り越え、2000年代に入り、これからもバンドを続けていくことを選んだGLAY。その未来を模索していた中で、「EXILEとのコラボレーションは、自分達が今後進んで行くべき道のヒントになるだろう」と感じた、と。2000年代前半のGLAYは、所属していた事務所を離れ、自分達でバンドを運営していく方向に舵を切っていく転換期にあった。
そしてEXILEもまた、2003年にメンバー自ら事務所を立ち上げ、HIROを社長として活動を行っていた。HIROとTAKURO、二人のリーダーの間に生じた共鳴の要因のひとつには、アーティストとしての活動をこなしながら会社のトップとしてメンバーの人生を背負う、よく似た立場があったのではないかと想像することができる。
二節 ACE OF SPADESの結成(~2012年)
資料を追っていくと、GLAYとEXILEの交流はその後も続いていることがわかる。映像作品「EXILE LIVE TOUR 2005~PERFECT LIVE “ASIA”~」には、アンコールにおいてGLAYがゲスト出演し、SCREAMを演奏した姿が残っている。
また、「EXILE LIVE TOUR”PERFECT LIVE 2008”」でも、撮りおろし映像という形でGLAYが登場し、EXILE TAKAHIRO加入後は初めてとなるSCREAMのパフォーマンスが行われている。2009年には『月刊EXILE』にTERUとTAKAHIROの対談が掲載され、2011年にはEXILEの音楽バラエティ番組「EXILE魂」にGLAYが出演もしている。
そのようにして縁を結び続けてきた両者だが、2012年、ついに新たな局面を迎えることとなる。
言わずもがな、ACE OF SPADESの結成である。
2012年7月2日付のBARKSの記事「EXILE・TAKAHIROとGLAY・HISASHIらのバンドACE OF SPADES、EXILEのライヴに緊急参戦」にはプロジェクトの情報が公開された流れが記されている。
4月からスペードのエースを模したバンドのロゴマークがEXILEとGLAYのオフィシャルホームページにアップされ、ファンの間では「GLAY×EXILEのようなプロジェクトが進行しているのでは?」と噂になっていた。(中略)「WILD TRIBE」という曲がトヨタ「WISH」CMソングとしてオンエアされ、〈EXILE TRIBE LIVE TOUR 2012~TOWER OF WISH~〉の会場で映像が流され始めると、一挙にその活動に注目が集まった。そして、7月1日の札幌ドームでACE OF SPADESのライブ初披露という形でその全貌が明らかになった。
ACE OF SPADESは、各公式サイトで「この夏だけのビッグコラボレーション」と銘打たれ、8月22日に1stシングル「WILD TRIBE」をリリース、9月19日にシングル購入者限定のプレミアムライブを恵比寿LOQUIDROOMで開催し、一旦その活動に幕を下ろす。
ACE OF SPADESが結成されるに至った経緯については、2012年当時に公開された複数の雑誌やインタビューなどで語られている。
HISASHI:最初に話が出たのは去年です。去年EXILEのリーダーのHIROさんを交えてみんなで話をしたときに、2005年のGLAY×EXILEの熱気を、2012年にもう一度実現させたら面白いんじゃないかという話になって。それで、TAKAHIRO君と僕でバンドを結成しようということになりました。
(『GiGS』2012年10月号P12)
TAKAHIRO:個人的にロックにも憧れを抱いていて、もともと僕がGLAYさんの大ファンであることをHIROさんもご存じで……。そのようななかで、HIROさんから“HISASHIさんとバンドをやってみないか”というお話をいただいたんです。
(『月刊EXILE』2012年10月号P32)
HISASHI:EXILEのHIROさんとGLAYのなかでは、結構前から話をしてたんですよね。“GLAY×EXILE”の「SCREAM」(‘05年)という作品があるんですけど、あのときの熱を忘れていないメンバーがかなりいて。(中略)そういうなかで「バンドをゼロから立ち上げる」という話が出てきて。
(『WHAT’S IN?』2012年9月号P21)
HISASHI:今回あの、EXILEのHIROさんと、GLAY×EXILEの時にやったあの熱をもう一度再現したいと、そういったお話があり、バンドを結成しました。
茂木:それはなに? HIROさんとHISASHIさんの、密会?
HISASHI:HIROさんと、TAKUROですね。リーダーと。リーダー同士で。
茂木:あっ、社長とね。工場長と。君んちの。(中略)EXILEの偉い人と、GLAYの偉い人が、ちょっと話し合って、話し合ってっていうか意気投合し。
HISASHI:はい、はい。
茂木:それでまず、TAKAHIROさんが決まった?
HISASHI:そうだね。それで……。
TAKAHIRO:(中略)僕がそういうロックが好きだっていうことも、HIROさんが汲んで、HISASHIさん達とバンドをやると、すごいTAKAHIROのいいところが出るんじゃないかって話を、していただいた。
(「RX-72」#43/2012年7月28日放送)
様々な媒体の中で語られ方に若干の差異はあるが、まずGLAY×EXILEを2012年に再び、というコンセプトがあり、それに相応しいメンバーとしてGLAYからはHISASHI、EXILEからはTAKAHIROが選出された、という流れのようだ。
そのコンセプトを念頭に置いてACE OF SPADESを見ると、納得が大きい。前節で書いたように、GLAY×EXILEは単なるコラボレーションではなく、二つのグループを融合させ新しいグループを誕生させる試みであった。それを目指した時、異なる人間が集まってひとつの音を鳴らす“バンド”を新しく結成するというのは、大いに理にかなっている。
ところで、GLAY4人、EXILE14人(2012年当時)の中で、何故“HISASHI”と“TAKAHIRO”であったのか。具体的にどのような話し合いがなされ、この二人に決まったのか。それはインタビューでもあまり語られない。
(他の誰でもない「HISASHIとTAKAHIRO」であった理由について、具体的に語られている文献等をご存じの方がもしいらっしゃったら、ご教授いただきたい……)
しかし、類推することはできる。
TAKAHIROは彼自身が折に触れて述べている通り、EXILEのファンであると同時にGLAYのファンであったという。
また、彼はGLAY×EXILE当時はEXILEに加入していなかったメンバーでもある。
2012年に新しいGLAY×EXILEを作り上げようとした時に、新たな世代の象徴として新メンバーから選出しようとするのは自然であると思われる。
HISASHIについては、より語られる機会が少ない。そこで、再び『HAPPY SWING』37号を参考にしたい。この対談の中で、「SCREAM」のレコーディングについてTAKUROはこう語っている。
TAKURO:ある意味、HISASHIがプレイヤーとしては一番生き生きしてたかもしれないね。あんなゴリゴリな音、GLAYではなかなかできないじゃないですか。ATSUSHIの持ってる男っぽいイメージがあるからこそ、耐えられるものであって。HISASHIは、ここぞとばかりに自分の才能を全開にさせてた。
TAKUROはGLAY×EXILEを通して、HISASHIのプレイとEXILEのスタイルに何かしらの通じるものを感じていた。それ故に、次世代のGLAY×EXILEに対するGLAY側の使者として、HISASHIを送り込んだ、というのは穿ちすぎだろうか。
とにかくそのようにして、リーダーHISASHI、フロントマンTAKAHIROのバンドが結成されることとなった。
各インタビューからは、ベースとドラムはHISASHIの人選であることがわかる。同時にバンド名も決まっており、この座組みになることが定まった時点で、彼の中にはビジョンが見えていたようだ。
HISASHI:HIROさんから話もらった瞬間に、TAKAHIROくんがボーカルで、で、メンバーもうっすら決まってて、まずギターひとりのバンドをやったことなかったから、リズム隊をすごい強い二人にしたいなっていうのがあったんで。でもそのなかでやっぱり決まってましたね。MOTOKATSUさんとTOKIEさん。
(「RX-72」#43、2012年7月28日)
HISASHI:ギターがひとりのバンドをやったことがなかったし、安心できるメンバーを揃えたかったんですよ。TAKAHIRO君がボーカルに決まった時点で、バンド名も決めていて……。(中略)あとは強靭なリズム隊を揃えるだけだな、と思ったときには、TOKIEさん、MOTOKATSUさんの名前が頭の中にあったんですけど、全員のスケジュールが合ったのは奇跡ですよね。
(『WHAT’s IN?』2012年9月号)
暴力的とすら言える最強のリズム隊を迎え、こうしてACE OF SPADESは産声を上げた。
三節 ACE OF SPADES潜伏期(2013年~2017年)
2012年夏に期間限定バンドとして一度その活動を終わらせたACE OF SPADESは、その後不定期に活動を行っている。2013年9月19日に行われた「テレビ朝日ドリームフェスティバル2013」の初日、GLAYとEXILEの出演日のサプライズ登場などはその一例だ。
そのような中で、やはり特筆すべき大きな活動はHiGH&LOWプロジェクトに関するものだろう。
2015年から放送されたドラマシリーズ、続く2016年の映画作品「HiGH&LOW THE MOVIE」及び「HiGH&LOW THE RED RAIN」において、ACE OF SPADESが雨宮兄弟/雨宮雅貴のテーマソングを担当し、登坂広臣やPKCZ🄬といったアーティストとの共同作業を通して、新たな楽曲達を世に送り出した。
HiGH&LOWへのACE OF SPADESの起用について、『Rolling Stone SPECIAL EDITION 完全保存版『HiGH&LOWの世界』』の中で、A&R担当佐藤達郎は次のように語っている。
佐藤:雨宮兄弟はTAKAHIROが演じているというのもあって、彼がソロやACE OF SPADESでやっている時の硬派なロックみたいなイメージがあるんですよね。それでテーマ曲もACE OF SPADESでやりたいという話になり、HISASHIさんとTAKUROさんにお願いしました。
ACE OF SPADESの初期の楽曲がそうであるように、雨宮兄弟に関わる三曲「SIN」「Louder」「TIME FLIES」はすべてHISASHIとTAKUROの共同制作ユニットaudio 2 audioが関わっている。
中でも「HiGH&LOW THE RED RAIN」の主題歌となった「TIME FLIES」に関しては、MOTOKATSUの以下のようなツイートが存在する。
『TIME FLIES』
— MOTOKATSU®︎ (@motokatsu_dr) 2016年8月10日
3日前に突如レコーディングが決まり、TAKUROが2日で歌詞を書きあげ、TERUが仮歌を入れてくれ、楽器チームは1日で録り、歌の2人も早々に録り終えPKCZがトラックを仕上げてミックス完了。
ここまでで一週間。
皆のスキルの高さを再確認しました。
楽曲は2016年6月15日発売の「HiGH&LOW ORIGINAL BEST ALBUM」、そして2016年10月12日発売の「TIME FLIES」に収録された。そして、それらの楽曲と共にACE OF SPADESは「HiGH&LOW THE LIVE」への帯同という形で全国四ドーム17公演のツアーを回ることになる。
ACE OF SPADESが華を添えたHiGH&LOW及び雨宮兄弟というキャラクターは、メンバーにとっても大きな刺激となったことが伺え、HISASHIはSNSにおいてACE OF SPADESを「雨宮兄弟の応援団」「雨宮兄弟の親衛隊」などと例えることも多かった。
3度目の京セラドーム入りました!
ニューTシャツ♪#highlowthelive #aos #雨宮兄弟#の楽団 https://t.co/tZGdOYgj2H— HiSAƧiH(@HISASHI_) 2016年10月1日>
本日より[HiGH&LOWTHE LIVE]東京ドーム公演初日!楽しい時間を過ごしましょう♪#HiGH_LOWTHELIVE #aceofspades#雨宮兄弟の#ドゥーフウォーリアー
— HiSAƧiH(@HISASHI_) 2016年9月7日>
[HiGH&LOWTHE LIVE]京セラドーム大阪6日間!無事終了しましたーー!!
楽しかったですね〜♪最後の大阪楽しみまーす!#highlowthelive #雨宮兄弟#の親衛隊長#HBD— HiSAƧiH(@HISASHI_) 2016年8月28日
2016年の「HiGH&LOW THE LIVE」以降、ACE OF SPADESは再び沈黙期間に突入することとなるが、この時に発生したACE OF SPADESと”伝説”“雨宮兄弟”の縁は、その後も長く続いていくこととなる。
1stツアーのライブ円盤に、「Legendary night」と冠するほどに。
四節 ACE OF SPADES再始動(2018年~2019年)
2016年以来各々の活動に取り組んでいたACE OF SPADESが再び集まったのは、それから2年後のことであった。2018年6月23日に開催されたLUNATIC FEST.2018への出演である。
2018年6月8日付のBARKS「【インタビュー】〈ルナフェス〉SUGIZO編、『ただただ音楽そのものに貢献したい』」に、ACE OF SPADES出演に際してのSUGIZOの言葉がある。
SUGIZO:僕がHISASHI(G)に声を掛けましたけど、実は「ACE OF SPADES、どうかな?」ってINORANが言い始めたような気がする。(中略)TAKAHIROくんをヴォーカルに、TOKIE(B)さんもMOTOKATSU(Dr)くんも僕のソロでもずっとお世話になってきた仲間が居るっていう、すごく面白い布陣なんですよ。MIXは小西(康司)さんが手掛けたし、TAKUROがプロデュースしていたりだとか、結局僕らのファミリーみたいな(笑)。そういう意味でもすごく安心してステージに立ってもらえる大事な仲間ですね。
SUGIZOがACE OF SPADESに強い仲間意識を抱いていることは、2019年2月22日の「SugizoTube」にMOTOKATSUとHISASHIがゲスト出演した際の言葉でも垣間見える。
SUGIZO:しかもなんかとっても身近で、エンジニアは小西さんでしょ。小西さんは俺もLUNA SEAでもずっと世話になってて、MADもそうでしょ? で、元々MOTOKATSUくんとTOKIEさんは一緒にやってたとこからの始まりでしょ。なんかだから、それでHISASHIでしょ、で、ルナフェスではINORANが出演したでしょ。なんかだから凄く、一番近しい身内バンドって勝手に思わせてもらってて。
(中略)
奥浜:こういったロックテイストの楽曲、TAKAHIROさんのボーカリストとしてのポテンシャルが物凄い、ここも行けんだ、ってちょっと驚きますよね。
SUGIZO:むしろ、彼はこっちがルーツじゃない?
また、INORANは実際にLUNATIC FEST.2018のステージにおいて「Louder」の曲にゲスト参加をし、2019年の「4REAL」ツアーにおいてもゲスト出演を果たした。
GLAYとLUNA SEAという、同じレーベルに所属し同じシーンで活動してきた先輩後輩・戦友としての繋がりが生んだ縁であることを踏まえても、ここまで主にLDH/EXILE TRIBEに寄り添う形での活動が多かったACE OF SPADESが、バンドシーンにおいても一定の存在感を示していたと思われることは大変に興味深い。
そのうえ、このLUNATIC FEST.2018への出演は、その後のACE OF SPADESの活動に大きな影響を与えた。2019年の1stアルバム「4REAL」発売及び、それに伴う初のワンマンツアー「ACE OF SPADES 1st. TOUR 2019”4REAL”」の開催である。
2019年初頭、「4REAL」プロモーション期のインタビューで、HISASHIは再始動のきっかけのひとつがLUNATIC FEST.2018であったことを繰り返し語っている。
HISASHI:去年、「LUNATIC FEST 2018」に出させてもらったときにステージ上の4人がすごく自然だったんです。ステージに立ってみたら、すごくしっくりきた。なので、その勢いをそのまま作品に注ごうという気持ちがありました。
(「GLAY公式サイトWEBインタビュー」Nol.77、2019年9月22日付)
HISASHI:お互い活動が被っていた時期もあったので、まとまった時間がなかなかとれず、このタイミングになりました。去年、LUNA SEAの「ルナフェス」に誘っていただいてACE OF SPADESとしてステージに上がったメンバーの姿がすごく自然だったんですよね。何年も活動を続けてきたバンドがフェスに出たような感覚があって、それを信じてみようと、そこからアルバムに向けて動き出しました。
(モデルプレス「EXILE TAKAHIRO&HISASHIが語る“夢”─夢を追う人、探す人へメッセージ「今ある目標に達することだけが正解ではない」「今は可能性だらけの世界」〈ACE OF SPADESインタビュー〉」、2019年2月28日付)
HISASHI:実際にアルバムの制作が始まったのは、昨年6月の『LUNATIC FEST.2018』の後。ライブもすごく良かったし、「この勢いを形にしないのは、もったいないな」と思って。まずプリプロ(レコーディング前の仮録音)をやったんだけども、本番で使えるくらいのクオリティを目指していたんです。
(RealSound「TAKAHIRO×HISASHIが語る、ACE OF SPADESの軌跡『メンバーの絆も強くなった』」、2019年3月9日付)
LUNATIC FEST.の舞台裏インタビュー映像で「今月の末にプリプロがあるんですよ」と語り、モデルプレスのインタビューで「2019年にリリースしたいという目標は前からありましたね」と述べているように、2019年に新たな活動を始める目途は立っていたのだろう。そして、その背を強く推したのがLUNATIC FEST.への出演であったことは間違いない。
そうしてレコーディングが行われ、2019年2月20日に1stアルバム「4REAL」がリリース、2月28日からは全国5箇所7公演の全国ツアーが開催された。
これらの活動に冠されているワード“4REAL”について、HISASHIはReal Soundのインタビューの中でこう語っている。
HISASHI:「4REAL」の意味としては、“4人の本気”ということもあるし、数あるロック名言のなかでもすごいアンセムじゃないですか、この言葉って。
──Manic Street Preachersの“4REAL事件”(UKのロックバンド、Manic Street Preachersのギタリストだったリッチー・エドワーズが、取材中、インタビュアーの皮肉な態度に対し、自らが本気であることを証明するため、カミソリで腕に“4REAL”という文字を切り刻んだ事件)ですね。
HISASHI:学生のときにそのエピソードを雑誌で読んで、すごく印象的で。その後、リッチーは失踪して、結局、見つからなかったんですよね。
TAKAHIRO:ヤバいですね……。
HISASHI:僕もずっとこの言葉を忘れてたんだけど、アルバムのタイトルを考えてるときに思い出して。すべてが線でつながった感覚がありました。
壮絶な“本気”を象徴する言葉、それを背負っただけのアルバム、ステージを、ACE OF SPADESが示してみせたと結論付けることに異論の余地はないだろう。
LUNA SEAよりINORAN、三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEより登坂広臣、GLAYよりTERU・TAKUROを迎えながら駆け抜けたツアーに幕を下ろしたACE OF SPADESだったが、2019年の活動はそれで終わりではなかった。
「氣志團万博2019~房総ロックンロール最高びんびん物語~」への出演である。
氣志團万博とHISASHIの縁は深く、初回の「氣志團万博2003~木更津グローバル・コミュニケーション‼~」にGLAYとして参加し、「氣志團万博2013~房総爆音梁山泊~」にはhideバンドの一員として出演している。そして、ACE OF SPADESとしても、2012年のTwitterにてこのようなやりとりがなされていた。
AoSで夏フェス、バックヤードでは大人しくする(予定)なので誰か誘ってくれませんかねー
— HiSAƧiH (@HISASHI_) 2012年8月8日
ちょっと、ちょっと〜。聞き捨てなりませんよ〜。 RT @HISASHI_ AoSで夏フェス、バックヤードでは大人しくする(予定)なので誰か誘ってくれませんかねー
— 綾小路 翔 (@ShowAyanocozey) 2012年8月8日
また、2012年8月26日放送の「EXILE魂」では、氣志團がゲストで出演し、なおかつACE OF SPADESがパフォーマンスを行っている。
7年越しに実現したACE OF SPADESの氣志團万博出演は、同時に初の野外フェスでもあった。このステージは現時点(2019年10月11日)におけるACE OF SPADESの最新の活動であり、「GLAY MOBILE」で「今年初ツアーを行ったACE OF SPADESとしては最高の締め括りだった」と書いたHISASHIの言葉に従うならば、今年最後の活動でもある。
氣志團万博を2019年を締め括る活動として見た時、2019年9月20日付で更新されたモバイルラジオ「GLAY TAKURO MOBILE MEETING GOLD」の中で、TAKUROが「頑張ってましたね、あんな猛者ども達の中で」「色々と本人達の中では課題が見つかったみたいで」と述べ、「いいんじゃないですか、フェス一発目って言ってましたもんね。健闘したと思いますよ」と述べたことは、象徴的だ。
GLAYとEXILE。それぞれ偉大なキャリアを持った二つのグループの交わりは、2005年のGLAY×EXILEから始まった。そこでTAKUROとHIROが目指した、「真っ正面からぶつかった時に、新しいものが生まれる」コラボレーションは、HISASHIとTAKAHIRO率いるACE OF SPADESに受け継がれ、7年の時を経て“本気”を高らかに掲げるまでになった。そして彼らは、GLAY・EXILEとしてではなく、ACE OF SPADESとして、初の野外フェスに挑み、緊張の中で課題を残しながら“健闘”している。
ACE OF SPADESという新人バンドは、まだ旅の始まりにいる。
二章 ふたつの永遠
一節 GLAYとEXILE
前章ではGLAY×EXILEから今日のACE OF SPADESに至った経緯を振り返った。二章では、GLAYとEXILE、そしてHISASHIとTAKAHIROという存在が、これらのコラボレーションの中でどのような意味を孕み得るのかを見ていきたい。
GLAYとEXILEという二つのアーティストの交流を考える時、欠かせないのが、それらはすなわちTAKUROとHIROの関係性である、ということだと思われる。
HIRO:ぶっちゃけたことを言えば、とにかく「この人のバンドと一緒に何かをやりたい」って、心に思ってしまったんです。
(『HAPPY SWING』37号)
TAKURO:HIROさんとやりたいと思ったのは、自分もこの温かい輪の中に入りたいと思ったからかもしれない。
(『HAPPY SWING』37号)
このように、GLAY×EXILEの原初の衝動は、飲み友達から始まったHIROとTAKUROの、互いへのリスペクトである。
そのため、まずはHIROとTAKUROという側面から、GLAYとEXILEという二者が邂逅したことの意味を解釈していく。
ロックバンドであるGLAYと、ダンス&ボーカルグループであるEXILE。一見すると全く交わらないところに存在するように思える二者だが、よく見てみると、案外そうでもない。
永遠なんてない。
(TAKURO『胸懐』)
2003年に出版されたTAKUROの著書『胸懐』。その最初の一文である。
すべてのものには終わりがあるのだ。EXILEだって、もちろん永遠ではない。
(EXILE HIRO『ビビリ』)
こちらは、2014年のHIROの著書『ビビリ』の記述だ。
「永遠なんてない」という言葉が2003年時点のTAKUROにとって重要なテーマであったことは、自叙伝の書き出しの一文に選んでいることから読み取れる。
また、HIROにとっての「すべてのものには終わりがある」というテーマがやはり重要であることも、確かだろう。それは、例えばLDH主導のプロジェクトHiGH&LOWを通じて語られる主題からも導くことができる。
世代もジャンルも異なる場所で活躍するふたつのグループのリーダーの価値観が、根本的にどこか通じているというのは、興味深いことである。彼らが互いに抱くリスペクトの要因のひとつには、このような根底に存在する世界観のつながりがあるのかもしれない。
しかし、前述した内容を即座に否定するようだが、「つまりGLAYとEXILEは本質的に親和性のあるグループだったのだ」と結論付けることは筆者にはできない。
筆者が主張したいのはむしろその逆である。「根源に存在する人生観に通ずるものがあるにも関わらず、GLAYとEXILEは致命的に“異なる”グループであり、故にACE OF SPADESというバンドが成立したことに重大な意味が発生したのだ」と、筆者は強く感じている。
それでは、GLAYとEXILEは、どこが“違う”のか。共に良い音楽を目指し、リーダー同士の仲が良く、GLAY×EXILE当時にTAKUROに「HIROさん、全然違くないんだけど。どうしよう」と言わしめた彼らは、どこに差異を孕んでいるのか。
それを筆者は、“永遠”に対するアプローチだと考える。
GLAYは2019年でデビュー25周年を迎えるロックバンドである。人々がそんな彼らについて語る時、頭に「解散しないバンド」という冠が付くことがある。
2012年7月30日付のJAPAN Billboard「GLAY 10万人ライブで7大発表、『解散はしません!』と力強い宣言も」には、彼らが「解散しないバンド」と呼ばれる理由のひとつが記されている。
さらにTERUからは、「ここで宣言します! 僕たちはこれからもずっとずっと約束を守るバンドとして活動して行きます! 絶対に解散はしません! ひとつひとつ新しい約束を胸に活動していきたいと思います!」という力強い言葉も。
また、2014年に行われた「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」開催発表記者会見において、HISASHIはこう語っている。
HISASHI:今回はなんと! 変わらないGLAYをお見せします!
GLAYというバンドが2019年において特異である点のひとつに、デビューから25周年を迎える今に至るまで、一度も解散や活動休止を行っていないというものがある。そして、少なくともデビューを迎えてからは、メンバーの入れ替わりも発生していない。
GLAYが今迄一度も解散をしていないこと、特に数々のロックバンドが解散・活動休止を決めた90年代後半から2000年代の移り変わりの時期に活動の継続を選択したことが、メンバーにとっても強いアイデンティティとなっていることは、インタビュー記事や著作などから窺い知ることができる。
仲間のバンドたちも解散していった。僕たちの前を走ってくれるライバルは、もうどこにもいなかった。
道は完全に、自分たちで切り開いていかなければならなくなった。
それでも、走り続けることをGLAYは選んだ。
(TAKURO『胸懐』)
TAKURO:俺らが「世間」と呼んでいるもの、4人で一緒にスタジオに入って、純粋に「楽しいね」って思えることが、GLAYのすべての原動力なんですよ。メンバー4人が持っている、ある種、高校時代の最後の夏休みのような、あの雰囲気だけは、触れてくれるなっていう。
(RealSound「TAKUROが明かす、“4人の個性”を生かした理由「GLAYの看板を背負う覚悟とタイミング整った」」、2017年7月12日付)
HISASHI:仮に音楽の市場がどんどんと萎んで、今のような活動ができなくなったとしても、僕らはきっと4人でライブハウスで歌っていると思うんです。目の前にひとりでもお客さんがいるなら、その人に向けて音楽を届けているでしょうね。
(LivedoorNEWS「音楽じゃなくて、GLAYが好きなのかもしれない。HISASHIが見つけた「天職」」、9月30日付)
TAKURO:GLAYが30年後まで続いている確信はあるので。
(アルバム「GUILTY」特典DVD)
もちろん、GLAYは“変わらない”だけのバンドではない。常に新しいことに挑戦し、進化していくバンドである。それは音楽面や活動面からも感じられるし、例えば、前述のインタビューの中でHISASHIが「とくに僕は「バンドには変革や改革が必要だ」と思っているタイプなので」と語っていることなどからもわかる。
一方で、GLAYというバンドの核のひとつに“変わらない”があるというのも、また事実だろう。“高校生の時のあの頃のように、四人で楽しくバンドをやる”という点においては、GLAYは絶対に“変わらない”バンドである。
続いて、EXILEについて考えてみる。
なお、正確には“LDH”と表記すべき箇所もあるが、広義の意味も込め、LDHに所属し同じ志を共有する彼らのことを、本稿では“EXILE”と呼称する。
EXILEの掲げるテーマを読み解くうえで、現在最もわかりやすいのがHiGH&LOWプロジェクトだろう。その中に、象徴的なセリフがある。
「永遠じゃねえ、MUGENだ」
これは共に過ごしてきた仲間がそれぞれの道を進んでいくことを受け入れられない琥珀に、龍也が投げかける言葉である。
この言葉に込められた「永遠は存在しない。しかし、思いは残り続ける」というメッセージは、その後のHiGH&LOW作品の中でも繰り返し語られる。
それはすなわち、EXILEが掲げるテーマであると考えるのが自然だろう。その根拠は、HIROの著書『ビビリ』の中にある。
永遠に続くグループなんてない。いつかどこかで、必ずいろんなことが起きて、解散しなきゃならなくなる。
それが運命なのだ。
けれどこのまま、その運命とやらのなすがままに、ここまで積み上げてきたものを、すべて無にしてしまっていいのだろうか。
EXILEはもう終わりなのか。
運命をひっくり返して、永遠に輝き続ける方法はないのだろうか。
(中略)
形あるものはいつか壊れる。
それは動かせない現実だ。
それなら、その形をないものにしてしまったらどうだろう。
形がなければ壊せない。
EXILEは、6人の人間でできている。
そう考えてしまうから、ひとりが抜けたら、EXILEはもう終わりということになる。生身の人間の集まりには、限界があるのだ。
そういう固定したものではなくて、どんどん変化しながら、日々新しく生まれ変わっていくようなものに、EXILEがなればいい。
それが、僕の出した答えだった。
(EXILE HIRO『ビビリ』)
著書の中でHIROがこう結論付けたように、2005年のSHUNの脱退後、EXILEはAKIRAとTAKAHIROという新メンバーを迎え入れる。その後も、2009年には二代目J Soul Brothersであった7人を加入させ14人体制に移行し、2014年には更に5人の新メンバーを擁するようになっている。
同時に、リーダーであったHIROは2013年に勇退という形で現役パフォーマーを退き、続いてMATSU・USA・MAKIDAIの三人もEXILEとしてのステージからは退いた。
また、EXILEというグループ内だけではなく、EXILE TRIBEの枠組みにおいても、その傾向は進んでいる。2018年にはJr.EXILEという概念が誕生し、新世代を担うグループ達として精力的に活動を行っている。
EXILEは表面上の形を変えても、その魂は変わらない。
逆に言えば、魂を不変のものにするために、永遠に輝き続けるために、表面上の形を変えていくのだ。
(EXILE HIRO『ビビリ』)
2018年7月25日にリリースされたアルバム「STAR OF WISH」特典のドキュメンタリー映像を見ると、メンバー会議の最中、EXILE TETSUYAがこう発言している。
TETSUYA:EXILEを100年後にリアルに残すというと重要になってくるのは必ず教育だと思っているので。
EXILEは、「リアルに」「100年後」を見据えている。そしてそのために、有形の不変を捨て、新陳代謝を繰り返していくことで、“EXILE”という概念、総体を長く残っていくものにしようと、真剣に試みている。
EXILEは、“変わっていく”ことを一つの本質的なアイデンティティに持つグループである。
以上のことから、GLAYとEXILEについて、このような総括をしてみる。
GLAYは“TERU・TAKURO・HISASHI・JIRO”の四人によってつくられる、“永遠に変わらない”バンドである。
EXILEは、メンバーを入れ替え属人性を限りなく低め、“永遠のために変わっていく”グループである。
もちろん、25年、或いは18年の時を重ねてきた彼らの姿は複層的で、これらの指摘は一面のみを切り取ったものにすぎない。
それでも、このような視点で両者を見た時、GLAY×EXILEに端を発するACE OF SPADESというバンドプロジェクトは、あるひとつの文脈をともなって映る。
ACE OF SPADESはバンドであり、そのリーダーはGLAYのHISASHIであり、フロントマンはEXILEのTAKAHIROである。それはつまり、どういうことなのか。
二節 TAKAHIRO
“エースオブスペーズ/スペードのエース”には、“切り札”という意味がある。そして、ACE OF SPADESというバンドにおいて、“切り札”とはボーカルのTAKAHIROであることは、明言されている。
HISASHI:TAKAHIROと一緒にやると聞いた瞬間に、彼の一番思い描いた形がエースオブスペーズだったので。
(「WILD TRIBE」ドキュメンタリー)
ACE OF SPADESのフロントマンたる彼は、まさしく“スペードのエース”の名に相応しい。美しさ、端正さの中に激しさや情熱を潜ませた歌声。そこに立つ者全員を魅了するカリスマ性。ステージに立つだけで絵になるオーラ。
そんな“切り札”TAKAHIROを通して、前節で述べた文脈について、考えていきたい。
TAKAHIROは、2006年にEXILEに加入したEXILEのボーカリストだ。彼がEXILEに選ばれたオーディション、VOCAL BATTLE AUDITIONを見ると、彼、田﨑敬浩のキャッチフレーズとして印象深く使われている言葉がある。「EXILE馬鹿」だ。
2006年9月23日付のBARKS「EXILE、新メンバーの呼び名は“TAKAHIRO”」では、TAKAHIRO加入のニュースに際してこのように書いている。
“EXILE狂い”といわれるほどのEXILEファンであったというTAKAHIROは、「もう頭がおかしくなってしまうくらいうれしいです!」と、現在の心境を語り、「歌手になりたい、というより、EXILEになりたかった」と本音を漏らし、メンバーたちもそれを温かい目で見守っていた。
このようにEXILEファンであることを突き詰めた結果、EXILEに加入することになったTAKAHIROだが、繰り返し語られているように、彼は同時にGLAYファンでもあったという。
TAKAHIRO:以前GLAY×EXILEの時は、あの、僕いないんですよ。まだファンの時代で。その頃あの、僕も、EXILEもGLAYも大好きで、見てたんですよ。僕がEXILEに加入させていただいて、ファンだってことを言い続けていたら、夢が叶いまして。あの、お食事に行かせていただいたりとか。仲良くさせていただくようになってから、僕がそういうロックが好きだっていうことも、HIROさんが汲んで。(下略)
(「RX-72」#43)
また、月刊EXILE2009年12月号でTERUと対談をした時には、
TAKAHIRO:僕は青春時代がGLAYさん一色だったので、どの曲を聴いても、その背景にある自分の青春の思い出がたくさん蘇ってきて……。
(中略)
その後に、「SCREAM」のレコーディングで一緒にスタジオに入らせてもらった時も感動しました。
(中略)
当時の僕にとっては、憧れの2つのグループのコラボは奇跡でした(笑)。デビューしてからEXILEの曲を歌い直していたんですけど、「SCREAM」の歌い直しはほかの曲とは、正直ちょっと違いました。
と興奮を語っている。また、その後2013年1月23日に発売されたGLAYのアルバム「GUILTY」収録「RX-72-GUILTY EDITION-」の中では、TERUがTAKAHIROにマイクを借りたエピソードがTERUとHISASHIの両名から語られており、EXILEとして活動する傍らGLAYのメンバーと親交を深めていたことが伺える。
これらのエピソードからわかる通り、EXILE TAKAHIROというボーカリストを形作っているルーツには、EXILEとGLAYというふたつのアーティスト、ふたつの音楽が存在する。
ルーツを存分に活かしたEXILEとしての表現については言わずもがなだが、GLAYという源流についてもTAKAHIROは自覚的である。
アルバム「4REAL」に収録されているTAKAHIRO作詞作曲ナンバー「LAST NIGHT」については、
TAKAHIRO:まずギターのコードとメロディを考えたんですけど、恥ずかしい話、どうしてもGLAYさんっぽくなってしまって(笑)。(中略)作ってるときに「あれ? こういう曲、GLAYさんになかったっけ?」と思って、アルバムを聴き直したり(笑)。10代のときからずっと聴いているし、ファンなので。勝手にそうなってしまうというか。
(Real Sound「 TAKAHIRO×HISASHIが語る、ACE OF SPADESの軌跡「メンバーの結束も強くなった」」、2019年3月9日付)
と語り、ソロミニアルバム「All The Time Memories」では実際にGLAYのTAKUROに曲提供を依頼。「かわいい弟のために頑張るよ」という言葉と共に「Irish Blue」の提供を受けたエピソードを明かしている(Mens JOKER「新作ミニアルバムの制作秘話や
2018年に再始動するEXILEの活動への思いをたっぷり語る
EXILE TAKAHIRO インタビューWEB特別版」、2017年12月20日付)他、前述のReal Soundインタビューの中でHISASHIからは「GLAYをずっと聴いてくれていたから、暗い曲からポップな曲まで、僕としてもフラットに曲を作ることができて」という評価も受けている。
つまり、EXILE TAKAHIROはまさしく、GLAYとEXILEの両方の血を受け継ぐボーカリストであると言える。一章で述べたように、新しいGLAY×EXILEを作り上げようとした時、彼がEXILE側から参加していることは、非常に象徴的である。
そんなGLAY×EXILEのマインドをそのまま受け継いだ存在であるTAKAHIROだが、彼がACE OF SPADESという場所を得たことによって、何が起こったのか。TAKAHIROは一連の活動を通して何を得たのか。それを勝手に語ってみようと思う。
まず、EXILEとGLAYは音楽性という面では大きく異なる。故に、ACE OF SPADESとして活動し始めた当初は、不安も大きかったことが彼の発言からは見て取れる。
TAKAHIRO:すごく嬉しかったけど、緊張もしましたね。そういう歌は歌ったことがないから、どうなるんだろう…という不安もあったんです。
(『GiGS』2012年10月号)
TAKAHIRO:やっぱり大先輩方に囲まれて、自分がこう、責任もってやんないと。周りの人たちは豪華だけど、ボーカルちょっと弱いね、って言われたら悔しいじゃないですか。
(「RX-72」#43、2012年7月28日放送)
2012年当時のHISASHIも、EXILEとロックバンドでは喉の使い方もリズムの取り方もすべてが異なることに繰り返し言及し、その上でメンバー全員が、その違いをACE OF SPADESの音楽性として目指している、という旨を述べている。
HISASHI:TAKAHIRO君がEXILEでやってきた音楽とロックでは、歌い方も音符の捉え方も全然違うと思うんですよ。それがどういう作用をもたらすか、期待も不安もあったんです。ただ、俺としては完璧なロックンロールを歌わなくていいと思ってたんですよね。さっきも言いましたけど、それぞれの持ち味を生かしたうえで、それがACE OF SPADESになればいいと思ってたので。
TOKIE:うん。「ロックだから、ボーカルはこういうふうに歌うべき」とか、そんなことは関係なくて。
MOTOKATSU:俺もバンドに合わせて(演奏スタイルを)変えることはしないですからね。やろうと思っても出来ないし。
(『WHAT‘s IN?』2012年9月号)
実際、2012年当時のACE OF SPADESボーカルTAKAHIROには、拭い切れない初々しさがあると筆者は感じる。当然、EXILEで培われた歌唱力は疑いようがないほどに素晴らしい。甘くなめらかな歌声に、正確なピッチは、紛れもなく国民的グループのボーカリストのそれである。
しかし、否、だからこそ、HISASHI・TOKIE・MOTOKATSUという根っからのバンドマン達の鳴らす音の中では、彼の歌唱が非常に新鮮に聴こえる。
2012年に行われた「ACE OF SPADES PREMIUM LIVE」では、1000人程度のキャパシティの会場に驚き、楽しそうに歌い振る舞うTAKAHIROの様子が見え、それがまた微笑ましい。ゴリゴリのロックの音に乗る、EXILE育ちの甘やかで爽やかなボーカルは、唯一無二のサウンドであり、それが2012年のACE OF SPADESの魅力であったのだと、思う。
そんなバンド一年生としての初々しさを纏わせていたTAKAHIROが、2019年現在、どのようであるかは、ツアーに行き、気志團万博へ赴いた方にはきっとおわかりのはずだ。前髪を重く下ろし、胸元の開いた黒いシャツを着こなし、「行くぞォ!」と咆哮し、時に重々しく、時に高らかにシャウトする。バンドマンとしてのTAKAHIROの姿が確かにそこにある。
思うに、2018年、LUNATIC FEST.2018に出演した時は、まだこれほどではなかった。
言うまでもなく、歌唱力は抜群に上がっていた。声の厚み、伸びやかさ、全てが圧倒的に向上していた。一方MCにおいては、礼儀正しく主催であるLUNA SEA及び関わるスタッフに感謝を述べ、敬語で「盛り上がっていきましょう!」と煽るその姿はまさしくEXILE育ちのボーカリスト。
鬱屈としたバンドマン達の中で異彩を放つその健やかさは、観客のバンギャ諸氏にも絶大なカルチャーショックをもたらしたとか、もたらしてないとか。
2018年からのACE OF SPADESの一連の動きに立ち会えた者はさいわいである。
TAKAHIROというボーカリストが、ライブの中でロックバンドを学び、バンドマンとしての振る舞いを獲得していくさまを、リアルタイムで見ていくことが出来たのだから。
「みんなの血、吸い上げちゃるばい!」を経て「ぶっ壊れるまで行くぞォ!」になった、今のTAKAHIROに、もはや「ボーカル弱いね」などと言う人間はいないだろう(元々いなかったというのは、置いておいて)。
最強の楽器隊と対等に張り合う声と所作を持ちながら、EXILEとしてのポピュラリティや正確さも備える。ACE OF SPADESのフロントマンはそういう男になった。
前述した通り、TAKAHIROは「EXILEになりたくて」EXILEとなった人間である。故に、彼のボーカリストとしての人生は、常にEXILEと共にある。
EXILEというグループにおいてTAKAHIROは、“変化”の象徴であると筆者は感じる。SHUNのEXILE脱退に伴って開かれたオーディションによって、EXILEになったのがTAKAHIROだ。EXILEが存在し得ない“永遠”を手に入れるために選んだ“変化”という道。その最初の一歩をつくった要素のひとつは、間違いなくTAKAHIROであると考える。
前節で、GLAYとEXILEの対比構造について述べた。それに沿って考えるのであれば、「永遠のために変わっていく」EXILEのTAKAHIROが、「永遠に変わらない」GLAYの人間とバンドを組んでいるということが、出来すぎた物語か何かのように思える。
2013年の「テレビ朝日ドリームフェスティバル2013」に際して発行された『HAPPY SWING』71号には、TAKURO・HISASHI・HIRO・TAKAHIROの四者による対談が掲載されている。そこで、TAKAHIROは、GLAYとEXILEについてこのように述べている。
TAKAHIRO:GLAYさんとEXILEさんって真逆な気がするんですよね。GLAYさんは同郷で、もうずっと一緒にやられていて。でもEXILEは歳も違いますし、出会い方もそれぞれあって。志が1つなのは一緒だと思うんですけど、EXILEを今後も輝かせるという意味では、GLAYさんの個性があるところを見習っていきたいですね。“大人数の人達”じゃなくて、1人1人のキャラが立つように、とか。
GLAYとEXILEがある面では正反対の性質を持っているが、それは同時に互いに学びあうことが出来るということでもあるのだろう。
ACE OF SPADESのツアー「4REAL」の最終公演、Zepp Sapporoのステージの上で、TAKAHIROはHISASHIに対して「ずっと聞きたかったんですけど」と前置きし、「25年も同じメンバーで続けていくのって凄くないですか? 秘訣は何ですか?」と問うていた。そして、HISASHIの答えを受けて、こう締めくくっていた。
「ACE OF SPADESもそうやって、10年20年と続けていきたい」
アルバム「4REAL」に収録されている「ALL TIME BEST」について、HISASHIはGLAY公式サイトのWEBインタビューでこう語っている。
HISASHI:TAKAHIROくんに少しでもバンドの楽しさを感じて欲しいなと思って。
(GLAY公式サイトWEBインタビュー Vol.77、2月22日付)
そしてTAKAHIROは、「4REAL」のアルバム制作を振り返って、こう感じたという。
TAKAHIRO:メンバーのみなさんが「せーの!」で音を出した瞬間に鳥肌が立ちましたし、EXILEとはまったく違う環境で歌うことで、ミュージシャン、ボーカリストとして鍛えられながら楽しめたと感じています。
(Real Sound「TAKAHIRO×HISASHIが語る、ACE OF SPADESの軌跡「メンバーの結束も強くなった」、2019年3月9日)
EXILEとは全く違う、“バンド”というものを、TAKAHIROは今まさに体感している。それは、きっと、4人でせーの、と音を鳴らせば成立する、4人が4人であることに意味がある、そういうものだ。
ところで、2019年7月発行のムック本『GLAY DEMOCRACY 25TH BOOK』には、TAKAHIROがGLAYへのメッセージを寄せている。そこにはこうある。
僕の人生はGLAYの曲と共にあると言っても過言ではありません。
まさに僕にとって“ROCK STAR”です!!
そしてTAKAHIROは、2019年10月16日に配信シングルをリリースすることが決定している。曲のタイトルは、「YOU are ROCK STAR」。
蒔かれた種が発芽する瞬間を、もしかしたら我々は見ているのかもしれない、と。そんな戯言を思う。
(10月16日追記)
「YOU are ROCK STAR」が配信されたので。
印象的な重いギターリフに、サビで甲高く鳴り響くシンセの音。彼のルーツとする全てを孕みながら、そのどれとも似通ってはいない、EXILE TAKAHIROによる、EXILE TAKAHIROのための、EXILE TAKAHIROのロックンロールがそこにあった。
彼がかつて焦がれた”ROCK STAR”の魂は、ACE OF SPADESを経た2019年10月、確かにTAKAHIROの中に、彼自身のものとして宿っている。
(追記ここまで)
(10月22日追記)
「YOU are ROCK STAR」に関して話が全然違ってきたので別記事にしました。
誰が“ROCK STAR”か?
何卒。
(追記ここまで)
三節 HISASHI
ACE OF SPADESというバンドが孕む物語に主人公がいるとすれば、それはきっとTAKAHIROなのだと思う。
一方、この物語に仮に作者というものを置くならば、HISASHIがそう、ということになるのではないだろうか。HISASHIがACE OF SPADESのリーダーであり、全体のプロデュースを担っていることは確かだ。
4REALの最終公演について書かれた2019年3月24日付の日刊スポーツ「TAKAHIRO、憧れGLAYとの共演に大興奮」では、
HISASHIも「日々たくましく成長していて、こちらの狙い通りですね」と目を細めた。
と記されている他、2019年7月21日放送のラジオ「SUPERFINE SUNDAY」では、インタビュー内で
AoSは、トータルで音のアプローチをプロデュースするというか、本当に頂点に立って皆の作業を見ているみたいな、そういったかなりリーダー的な観点が必要になってくるので。
と答えている。
本節では、GLAYのギタリストとして揺るぎない地位を築いているHISASHIに関して、“ACE OF SPADESのリーダー”という観点から、GLAYのリーダーであるTAKUROの在り方等を踏まえながら想像を膨らませていきたい。
2011年、「RX-72」の番組内で、HISASHIがTAKUROに感謝の言葉を伝える、という企画があった。そこでHISASHIはGLAY加入当時のことを回想している。
HISASHI:前のバンド、パンクバンドが解散しちゃって、俺なんにもやってなかったんすよ。もう、学校もつまんなくなって、バンドもなくなったし。もう暇だなぁっていうか、退屈だなぁ、って思ってたら、たぶん別にGLAYには必要なかったけど、暇そうにしてたから、退屈そうだったから、ちょっとウチでギター弾いてみないか、って、言ったのが、TAKUROだったの。そういうなんかね、音楽はもちろん大事なんだけど、こう、たぶんなんか、つまんない顔してたから、そういう、一緒に楽しもうよ、みたいなね。そういうことで、バンドに誘ってくれるような、リーダーです。
(「RX-72」#29、2011年5月27日放送)
一方TAKUROは、こう語っている。
音楽的方向性は違ったけれど、なにしろ彼のギターはすごく良かった。僕のギターとツインギター編成にすれば、GLAYの幅は広がると思った。
(TAKURO『胸懐』)
実際がどうであったかは、問題ではない。少なくとも、2011年に於いて、HISASHIがTAKUROによってGLAYに誘われたことを、このように捉えていた、ということである。
HISASHIという人間、及びHISASHIの持っていた音楽性ついて、TAKUROは『胸懐』の中でこう述べている。
トノの音楽的嗜好は、僕とは正反対みたいなものだった。バリバリのパンクで、なにしろバンド名が『蟻』だった。本質的には物静かな人間なのだが、ギターを弾き始めるとまるで別人になった。
今感じていることをとりあえず叫べばそれが音楽になる、という感じのパンクのノリもいまひとつ理解できなくて、聞いてみたこともある。
「そのTシャツ、どうして破いてるの? なんで、安全ピンつけてるの?」
「パンクだから」って答えるから、さらに素朴な質問をたたみかける。
「僕は音楽を聴いて、涙を流すことがある。悲しいときに元気づけられたり、美しい旋律に感動したり。パンクを聴いて、そういう経験したことある? 涙流したことある?」
「それはないけど、でもパンクを聴くと燃えるよ」
(TAKURO『胸懐』)
そんな、ある意味では“尖って”いたHISASHIに対してのTAKUROのスタンスとして、興味深いのが2017年7月12日付のReal Sound「 TAKUROが明かす、“4人の個性”を生かした理由「GLAYの看板を背負う覚悟とタイミング整った」」である。
この記事は、GLAYのアルバム「SUMMERDELICS」発売に際してのものである。「SUMMERDELICS」はGLAYのメンバー4人が全員メインライターとして曲を書いている革新的なアルバムだが、中でもHISASHIの楽曲は、一曲目に配置された「シン・ゾンビ」を筆頭に、かなり攻めた楽曲となっている。
TAKURO:それこそ、この10年間っていうのは、HISASHIの才能を、GLAYのなかでどう出していくのか、HISASHIのやりたいことが、ちゃんと世の中に正しく伝わるようにするためには、どうしたらいいのかっていうのを、スタッフともずっと話していたので。
──そう、ここ最近のHISASHIさんの存在感の増し方は、ちょっとすごいですよね。
TAKURO:まあ、メンバーのあいだでの認識は、昔からずっと変わらないんですけどね(笑)。あいつはずっと同じ場所にいて、世の中のほうが変わったのかもしれないし。というか、それを世に伝えるスタッフのほうが、どう伝えていいのかわからなかったっていう(笑)。なので、そこは何度も何度も話し合って、HISASHIに煽りも入れつつやってきたところもあって。何か変な誤解をされて、そこで消費されないようにっていうのは、すごく気を使ってきたところではありますね。
実際、2017年付近のHISASHIは活動の幅を更に広げており、例えば、2017年3月にはアイドルグループバンドじゃないもん!のアルバム「完ペキ主義なセカイにふかんぜんな音楽を💛」内の一曲「君はヒーロー」をプロデュース。続いて2018年5月には、両A面シングル「BORN TO BE IDOL/恋する完全犯罪」のシングルプロデュースを行うなどしている。
そしてそんなHISASHIが、2018年、そして2019年に、ACE OF SPADESにおいてどのような活躍を見せているのかは、周知の事実である。
ここで、時系列は前後するが、ACE OF SPADESにおいてHISASHIとTAKUROがどのような役割を果たしてきたのかについて、今一度考えておきたい。
ACE OF SPADESは2012年にHISASHIをリーダーとしてデビューしたが、その時、彼には共同作業者がいた。言うまでもなく、TAKUROである。
シングル「WILD TRIBE」に収録されている曲のクレジットを見ると、4曲中、「誓い」を除いた三曲がTAKUROとHISASHIの作曲ユニットaudio 2 audio名義となっている。また、「WILD TRIBE」ドキュメンタリーの中で、TAKUROは「今回僕は曲の面とか詞の面とかで、アドバイザーという立場で関わっているんですけど」と語っている。
リーダーは紛れもなくHISASHIであり、コンセプトのプロデュースやサウンドメイクを主導していたのが彼であることは疑いようもないが、その中でTAKUROの果たした役割も、また大きいものであると言えるだろう。
2016年のHiGH&LOWに関わる楽曲群も、audio 2 audioによるものであるとクレジットされている。中でもSINやTIME FLIESは、前章でMOTOKATSUのツイートが記すように、作詞の面でTAKUROの色が強く出ている。
しかし、2019年、アルバム「4REAL」をリリースする段階になると、変わってくる。「4REAL」は、インタビューやTV出演でメンバーが語るように、「一人一曲」がノルマとして課され、HISASHIに加えてTOKIEとTAKAHIROが新曲を書き下ろすアルバムとなった。HISASHIの曲である「Vampire」と「ALL TIME BEST」も、クレジット表記は作詞作曲共にHISASHIであり、そこにaudio 2 audioやTAKUROの文字はない。
もしかしたら、筆者がどのような幻覚を見ているか、お察しの方もいるかもしれない。
2016年から2019年までの3年の間に、何があったか。
アルバム「SUMMERDELICS」の発売であり、TAKUROの「この10年間っていうのは、HISASHIの才能を、GLAYのなかでどう出していくのか、HISASHIのやりたいことが、ちゃんと世の中に正しく伝わるようにするためには、どうしたらいいのかっていうのを、スタッフともずっと話していたので」という発言であり、アイドルプロデュースなどのあらゆるフィールドに幅を広げた活動達である。
もちろん、「SUMMERDELICS」だけが契機だなどとは言うつもりはない。2016年1月に発売されたGLAYのシングル「G4・IV」において、ACE OF SPADESからMOTOKATSU MIYAGAMIをドラマーに迎えて「彼女はゾンビ」を書いたことを始めとして、様々な要因が絡み合い、その結果として今があるのだろう。
それでも、HISASHIは2019年2月27日、GLAY MOBILE内でHISASHIは「HISASHIの頭を叩いてみるとこんなバンドが出来ました!という感じ」と書いている。
ACE OF SPADESのリーダーであるHISASHIが己の頭を叩いた時に、“メンバー全員が均等に曲を出し合う”アルバムにしようと思った時、そこに、「SUMMERDELICS」という、メンバー全員が曲を書いて作り上げたアルバムが、「シン・ゾンビ」を一曲目に置いたアルバムが、そしてそれに至り、そこから出発した様々な経験が、脳裏をよぎらなかった、ということがあるだろうか。
今日はMVにもなった「Vampire」の話でもしてみようかな?
この曲のフォーマットは完全にゾンビシリーズです。
バンドじゃないもん!の「君はヒーロー」も属するシンセを軸にAメロから無理やりサビでDメロで本質に触れるという。
(GLAY MOBILE message from HISASHI/2019年2月8日付)
GLAY以外のバンドは(Rallyとかあったけど)ほぼ初めてなのでいつも以上に力が入るAoS。
今回新たに収録した曲達には良い意味でリラックスした雰囲気があります。
もしかしたらようやくバンドになれたのかも?
(GLAY MOBILE message from HISASHI/2019年2月20日付)
GLAYのリーダーであるTAKUROは、前述のReal Soundインタビューの中で、己のリーダーとしての役割についてこう表現している。
TAKURO:4人で一緒にスタジオに入って、純粋に「楽しいね」って思えることが、GLAYのすべての原動力なんですよ。メンバー4人が持っている、ある種、高校時代の最後の夏休みのような、あの雰囲気だけは、触れてくれるなっていう。それ以外のことであれば、いろいろ形を変えて、どこにもうまいことフィットするバンドではあると思うけど、俺たちにとっての最後の砦みたいなもの、バンドキッズの持っている衝動みたいなものには、誰も触れてもらいたくないし、そこさえちゃんと守ることができるならば、俺のリーダーとしての役目は、もう十分に果たせていると思うんですよね。
ACE OF SPADESのリーダーであるHISASHIは、2019年2月22日、「スッキリ」に出演した時、コーヒーの出前を担当していることを突っ込まれ、こう返していた。
HISASHI:そういった素晴らしい環境を作るためにはまずコーヒーだろうと。リーダーやるの、初めてなんですよ。
そして、「4REAL」の最後を飾る一曲、「ALL TIME BEST」。GLAY公式サイトのWEBインタビューではこう語っている。
HISASHI:今いる、こういう小さい部屋でも「ワン、ツー、スリー、フォー」でジャカジャカやれるような曲をやりたかったんです。ドラムはスネアだけでギターもアコギで、みたいな。音楽への感謝とかステージに立てる喜びみたいな歌詞のメッセージも含めて、バンド感というか、“4人の音”っていう感じを3コードで作りたいなって思ったんです。GLAYでもこういう曲を書いたことがあるんですけど、TAKAHIROくんに少しでもバンドの楽しさを感じて欲しいなと思って。
高校生の時、世界に退屈し、つまらないと感じながら日々を送っていたHISASHIは、GLAYのリーダーTAKUROによってGLAYという楽しい場所に誘われたのだという。
そして2019年、HISASHIはACE OF SPADESのリーダーとして、初めてバンドを組むTAKAHIROに、「バンドの楽しさを感じて欲しい」と思って曲を書く。
それに対してTAKAHIROがどう感じたかは、明言するほうが野暮というものだろう。それでもひとつ引用するならば、前節でも引いたこの部分になると思う。
TAKAHIRO:メンバーのみなさんが「せーの!」で音を出した瞬間に鳥肌が立ちましたし、EXILEとはまったく違う環境で歌うことで、ミュージシャン、ボーカリストとして鍛えられながら楽しめたと感じています。
三章 4REAL
解釈とは己との対話である、と、思っている。
どんなに現実という原文を丹念に読んでいっても、そこから導き出した物語は、結局のところ、自分が読みたい物語でしかないのだと、少なくとも私は自分の鑑賞行為についてそう思っている。
本稿はACE OF SPADESというバンドを題材にひとつの物語を描き出すことを目的としてきたが、明らかに、それは私の中にしか存在しないものだ。
それでも、前章までは、爪の先ほどの客観性を残そうとしてみた。導かれるものは幻覚だとしても、幻覚を生んだ根拠についてはなるべく誠実に提示してきた、つもりだ。筆者は自分の認知のただしさに全く自信がないので、その試みが達成されているかどうかはわからないが。
そうしたら、20000文字を超えてしまった。正直に言うと、めちゃくちゃ疲れた。
なので、ここからは体裁を取り繕うことを完全に諦める。
前章までで、無力ながらも出来る限りの言葉を尽くして「筆者の見たACE OF SPADESの物語」を書いた。
本章では、「ACE OF SPADESを見た私の物語」を書き、このわけのわからない長文の最終章としようと思う。
つまり、1億パーセント自分語りのコーナーです。
よろしくお願いします。
「4REAL」というアルバムがある。
ACE OF SPADES初のフルアルバムである。
忘れもしない、2019年2月20日、このアルバムを聴いて、私の人生は変わった。
ACE OF SPADESというバンド自体は、結成当初から一応知っていた。その数年前から、GLAYが好きだったので。
HISASHIがバンドを組むらしい。TOKIEと宮上元克がリズム隊らしい。そして、ボーカルはEXILEらしい。
縁があって、プレミアムライブのライブビューイングにも行った。
良かった。HISASHIの新しいギターは格好良くて、TOKIEのベースとコーラスは美しく、MOTOKATSUのドラムは強靭だった。
そして何より、当時は名前くらいしか知らなかった男の子(TAKAHIROは当然私より遥かに年上の、イカしたお兄さんなのだが、何故か、“男の子”に見えた)が、物凄く楽しそうに歌っていて、こんなに楽しそうに歌う人がいるんだと、そこに驚いた。
スクリーン越しに見る限り、1000人ほどが集ったライブハウスで、あの空間を最も楽しんでいるのは彼に見えた。
それから、HiGH&LOWの音楽をやる、という話を耳にして。聴いてみたら「ルシファー」! 10年代も突入して半分は過ぎようというこの時代に「ルシファー」! 正気か!? HISASHIのベタベタなギターに合わせてEXILE TAKAHIROと三代目登坂広臣が「ルシファー!」と叫ぶ今年は何世紀だ!
雨宮兄弟はめちゃくちゃ格好良くて、ハイローライブも観た。
ドームを満たすダンスミュージックの音の海。パリピポプチョヘンザ! と叫ぶ出演者を鋭いレーザーが照らし出すあの空間に、突如現れたHISASHIとTOKIEとMOTOKATSU。彼らの演奏を背負って漆黒のハーレーがアリーナを一周しながら登場し、しれっとした顔で鳴らし始めるのはゴリゴリのロックンロール。ルシファー吐き気がするまで愛してくれ。
なんつーロック、なんつーパンク、なんつー特攻精神。
超クール。
それからというものLDHにも完全にドハマりし、特にEXILEを好きになり、「天音」を聴いてATSUSHIやべー! になるが彼は留学中だしEXILEも充電中、その間にセカンドも三代目もジェネもE-girlsもイイしランペはデビューライブから完成されてるし云々、と完全に典型的なハイロー新規LDHオタクをやったりしていたが、その話はまあどうでもいい。
GLAYもサマデリやべー! 神! 一番好き! とかなっていたがまあそれもどうでもいい。
ACE OF SPADESは好きだったが、それぞれの母体での活動も好きだし、死ぬまでにもう一度くらい見られれば悔いはないな、と思っていた。
2018年、ルナフェスへの出演が決定した段階でもわりとそう思っていた。
望外のチャンスに喜びながらも、ルナフェスでバンギャの群れの前で歌うEXILE TAKAHIRO絶対見てえ!!!!(あとYOSHIKIも見てえ)と両日チケットを取り、行って、めちゃくちゃ楽しんだ。
直前のBONEZでJESSEが爆エモバンドマンMCをした後にTAKAHIROが礼儀正しく「皆さん盛り上がっていきましょう!」と煽ったのにウケ、INORANのLouderに卒倒し、GLAYのステージでTAKAHIROと、あとNESMITHまで飛び込みで歌ったのにはぶったまげた。
LUNA SEAのローディーを淳士がやったのにブチ上がったが、そのあとのセッションパート、淳士のドラムでBELIEVEの歌いだしを担当するTAKAHIROとかいう現象が発生した時はマジで意味が分からなかったし、RYUICHIとTERUが仲良く歌っているから遠慮がちに顔を見合わせて握手とかしてニコニコしているマオとTAKAHIROもだいぶレアだった。握手って。
ていうかWOWOW見てもマオとTAKAHIROの間にJIROが割り込んで三人で笑いあっていたカットが映ってないんですがぼくの妄想ですか?
いや、そんな話もどうでもいいのだ。
舞台裏のニコ生で、アルバム制作に意欲的だという話が出た時も、その言葉は私にとって現実味を帯びてはいなかったと思う。
来年あたりツアー、フェスも出たい、と言う彼らに、やってくれたら勿論嬉しいが、まあ、無理だろうな、という感覚もあった。
2012年当時も、例えばTERUのラジオ番組「TERU ME NIGHT GLAY」にゲスト出演した時、今後も続けていきたいしアルバムも出したいと言って、それが(すぐには)叶わなかったことも知っていたので。
別に、不満とかではなく、普通に、数年に一度偶にお祭りを拝めたらめっけもん、くらいの気持ちだった。
私の悪いところだと常々思っているのだが、オタクとしての私はどうにも冷笑を気取りたがる気がある。諦めて、予防線を引いて、それでそこそこに楽しみたいと思ってしまう傾向がある。
「4REAL」発売、そして全国ツアーの開催が発表されても、それは変わらなかった。
まず、リード曲が「Vampire」であることにめちゃくちゃ大声で2019年!? と叫んだ。リード曲が「Vampire」、ツアーの会場がZepp、特典はチケットホルダー、すべてが正しく“バンド”をやろうとしていた。
その時点で、彼らが「“丁寧に”“ちゃんと”“ロックバンド”をやろうとしている」ことを、私は面白がっていたように、思う。
キャパ数十人のハコから20万人の野外まで、あらゆる現場を踏んできたバンド歴30年以上の歴戦のバンドマン三人が、スケジュールの隙間を縫って、TAKAHIROをZeppのステージに立たせようとしている。その事実が興味深かった。
チケットの倍率がわからなかったので、「例え俺が行けなくても、TAKAHIROがZeppでロックバンドをやる、というその事実があるだけで世界には意味が発生するんだ……」とか言っていた。
そんなことを思いながらインフルエンザに倒れたりなんだりしていたら、「4REAL」発売日が来た。
発売日が来るということは、アルバムが家に届くということであり、確かにそれは届いた。
聴いた。
その瞬間、私は、“目覚め”た。(?)
最高のアルバムだった。
あの時の感情、衝撃は今でも忘れられないが、それを今の私の言葉で言い直しても、たぶんそれはあの言葉とは同じにならない。
なので、Twitterから当時のツイートを引用してこようと思う。
ACE OF SPADES「4REAL」、聴きました。ぼくは「俺はこれがやりてえんだよ!!!!!!!!!!!」で殴ってくるアルバムが大好きなんですが、全ての音が「俺は!!!!!これが!!!!!!!やりてえ!!!!!!!!!」と血を吐きながら叫んでいたので最高のアルバムです。
— あさひ (@the_asahi771) 2019年2月20日
なんていうかACE OF SPADESというバンドは、成り立ちからしてずっと“愛”で“リスペクト”で“浪漫”じゃあないですか。「俺/私が焦がれる程に愛するあの音を、この現代に、最もロックに、最もエッジィに、最も煮え滾るアツさで」。イイですね…良かったですね…好きですね…。 #aos
— あさひ (@the_asahi771) 2019年2月20日
ALL TIME BEST、HISASHIというミュージシャンがACE OF SPADESに贈り得る最も美しい祝福の花束なんだな…(今この瞬間最高の音が鳴っていて、夢でもそれが永遠に続くことを願ってしまうけれど、それでもAoSのリーダーは「まだ旅の始まり」「ベールに飛び込め」と書くのだ、6年間の軌跡の最後の曲で!)
— あさひ (@the_asahi771) 2019年2月20日
「祝福」「祈り」という形の「愛」でなくてなんなんだこれが?
— あさひ (@the_asahi771) 2019年2月20日
元々期間限定で、各々メインで行うべき活動があり、今後が“ある”のか“ない”のか、おそらく本人たちにすら判らない集団であるACE OF SPADESの、一区切りとも言えるアルバムの一番最後で、リーダーが「まだ旅の始まり」という歌詞を書いて送り歌わせることの“祈り”について考え続けて朝なんだよなあ
— あさひ (@the_asahi771) 2019年2月20日
これは「絶対次がある」という確約ではない。メンバーが彼ら彼女らである以上、「またやります」は確かな言葉ではあり得ない(特にGLAYはデビュー25年だしEXILEはパーフェクトイヤーだしね)。しかしリーダーが「旅の始まり」とあそこで書くことは決して無意味ではない。“祈り”は祈りであるだけで尊い。
— あさひ (@the_asahi771) 2019年2月20日>
今見ると、彼らの語る未来を全然信じてないなこの人……。そういうとこだぞ……。
それでも、私は驚いた。
彼らが、あんなにも明確に“祈り”を形にしたことに対してだ。
「4REAL」という言葉は、一章でも述べた通り、そしてHISASHIがインタビューの中で語っている通り、Manicsのギタリストだったリッチー・エドワーズが残したロックアンセムだ。
己の腕を剃刀で切りつけるという衝撃的な行動を伴うこのワードの本質は、「本気だ」という言葉だけで言い表せるものではないと、私は思う。
リッチーが己に刃を立てたのは、彼に対して侮辱的な質問をした記者がいたからだ。「本気で言ってるの?」と疑い、問うものがいたから、彼は己の血でもって、「4REAL」と示した。
故に、「4REAL」という言葉は、重く、危うい。
その言葉を掲げる行為は、彼らの意志を強く表明すると同時に、こちらの覚悟をあまりにも鋭い視線で問うてくる。
──本気かって? それを訊いてくるお前は、本気なんだろうな?
HISASHIがそれをわかっていないはずがない。
つまり、このアルバムは、冷笑して予防線を引くこちらの胸ぐらをつかんで無理矢理にでもACE OF SPADESに向き合わせるようなものなのだと──俺たちの血の赤さから、傷の色から逃げるなと、告げてくるものなのだと、そう思った。
逃げるべきではない、と思った。ちょうどその時期は時間的にも余裕があり、私は彼らに比較的多くの時間を使うことができた。ならば、私の持っている時間を、思考を、全て彼らに向けるべきだと。そして、その上できちんと自分の答えを出すべきだと、そう確信していた。
1枚だけ取っていたチケットを4枚まで増やし、初めての北海道遠征の予定も入れた。
私にとっての初日、2019年3月12日Zepp Divercity TOKYOから始まる4公演を、きっと私は一生忘れないだろう。
ALL TIME BESTで「皆の声届いてるぜ!」と笑い、「アリーナでも、ドームでもやりたい」と夢を語り、ステージを重ねるごとにACE OF SPADESのフロントマンとして洗練されていくTAKAHIROを見た。
暴力的なベースの指弾きで圧倒し、アップライトベースの荘厳な音を響かせ、それでいながら、可憐に微笑んでフロアを見下ろすTOKIEを見た。
MCではSUGIZOに気を引き締め登坂広臣にはしゃぐお茶目な一面を見せながら、絶対に乱れない恐ろしくタイトで華やかで攻撃的なドラムを叩くMOTOKATSUを見た。
二種類のギターで魔法のように様々な音を鳴らし、ステージの隅から隅まで走り回るHISASHIを見た。
中でも印象に残ったのは、HISASHIの言葉だった。「追加公演もやりたいね!」と言った彼が、忘れられなかった。
何故って、GLAYは「約束を守るバンド」だからだ。
GLAYの25周年、様々なところで「25年続ける秘訣は?」と訊かれたHISASHIは、「約束をすることだ」と答えている。そんな彼が、(追加公演は流石に無理にしても)(GLAY MOBILEの3月12日分のライブレポートで、「会場の空きスケジュールがないため、現実には不可能だが」と記されていて笑った。現実には不可能、ハイ)「追加公演」と、「フェスにも出ていきたい」と話している。
更に、彼は言っていた。「バンドの動かし方がわかってきた」「次は7年は待たせない。数日あればレコーディングできるし、新曲もあるし」。MOTOKATSUの課題曲について、「絶対つくります」とも。
アルバムを聴いた時、ALL TIME BESTで「まだ旅の始まり」と書いたHISASHIに、なんて美しい“祈り”だろうと思った。
けれど、そんなもんじゃなかった。リーダーは、本気でACE OF SPADESを旅の出発点に位置付けている。彼はACE OF SPADESでも、“約束”をやろうとしている。25年間GLAYでそうやってきたように。
ライブを見たら、冷笑を好む悪いオタクな私ですら、そう確信せざるを得なかった。
GLAYが今している“約束”のひとつに、「GLAYのファンクラブ30周年記念ライブをイタリアのヴェネツィアでやる」というものがある。
2016年の「HAPPY SWING 20th Anniversary SPECIAL LIVE」の公演中、TERUがそう叫んだ時、それはTERUの中にしか存在しない願いで、メンバーは誰も何も聞いていなかった、そうだ。すげー。
それでも、メンバーは「TERUがそう言うのなら」と、それをGLAYの約束とした。TERUは、2017年、2018年、2019年と、毎年GLAYのメンバーの誰かと共にヴェネツィアに赴き、2026年の約束を果たすための基盤を固めている。
「4REAL」ドキュメンタリーには、「フェスなんかもね! 出ていきたいな、って」と語るTAKAHIROに、「フェス、出たいですね」と答えるHISASHIの姿が収録されている。
「4REAL」ツアーの時点でどれだけのことが決まっていたのかはわからない。けれど、結果的に、その約束は果たされた。気志團万博初出演という形で。
煽りV、そしてHISASHIのInstagramによれば、HISASHIが気志團團長の綾小路翔に直接LINEを送ったことで、出演の運びとなったそうだ。
約束が果たされた場所で、最善を尽くす彼らを私は見た。
フェス常連のエンタメモンスター達の中で、GLAYとEXILEの名を躊躇なく出して衆目を集め、カバー曲中心の乗りやすいセトリを組み、気志團の「330」で主催へのリスペクトも忘れず、HISASHIがリーダーとして誠実な言葉を会場に届けた、その姿を見た。
それは、彼らの語った他の“約束”を私が心から信じるのに、充分な光景だった。
TAKUROは、「4REAL」のドキュメンタリーで、「いくらススーパーミュージシャンでも、バンドっていうのは、集まってすぐ出せるものではない。時間をかけてつくりあげていくものだ」というようなことを言っていた(もはや諦めているのでこれは書き起こしではない。記憶にのみ頼っている)。気志團万博の後は、「本人達の中では課題が見つかったみたいだ」とも。
EXILEのTAKAHIRO、GLAYのHISASHI、TOKIEにMOTOKATSU。全員がキャリアを積み重ねてきたプロフェッショナルだ。
そんな彼らが、2019年に「4REAL」を掲げ、1stツアーらしいツアーを回り、未来に約束を残し、緊張の中で初めての野外フェスに出て、課題を見つけ、一歩一歩、少しずつ、バンドとして成熟していっている。ルナフェスより4REALが良かった。4REALより気志團万博が良かった。その成長は、現在進行形で続いている。
なんて愛おしいんだろう。なんて美しいんだろう。なんて貴いんだろう。
ACE OF SPADESが好きだ。何度でも、そう思う。
ときに、2019年9月26日、TOKIEとMOTOKATSUが意味深な投稿をしている。その後ろ姿は小西さんでは? そのスタジオは? もはや完全にACE OF SPADESを信じ切っている私だが、いや、流石に休んでもいいのでは? リーダーは秋からHOTEL GLAYだし、フロントマンも道の駅の真っ最中ですよね?
そんなことを考えながらも、次の展開が楽しみでならない。
シングルだろうか、アルバムだろうか。2ndツアーは流石にもう少し先だろうけど、ラジオとか、生配信特番とかは、いつでもやってくださっていいんですよ。
おわりに
ACE OF SPADESが好きだ。
バンド名をMotorheadから借り、アルバム名をリッチーから借り、「WILD TRIBE」のサビのリフはTHE MAD CAPSULE MARKETSの「TRIBE」からのサンプリングで、「Vampire」の「人の不幸は大好きさ」はBOOWYの「MORAL」。
ツアーの開演前のBGMは全て現代的なカバー曲で、ライブの幕を上げるのはスカラ&コラシニ・ブラザーズ版の「Creep」。本編では本家のAce of Spadesをやり、GLAY×EXILEのSCREAMをやり、EXILEのRising Sunをやる。
HISASHIはTAKAHIROの憧れで、TOKIEとMOTOKATSUはHISASHIの憧れで、焦がれる音楽を胸に秘めて実家を飛び出したリーダーとフロントマンを、百戦錬磨のリズム隊が支えている。
そうやって、自分達を作ってきたあらゆる音楽への、先達への、ルーツへの愛で織りあがっているこのバンドが好きだ。
先人から受け取ったボールを、解釈して、音にして、未来へ繋げていく、祈りで溢れているこのバンドが好きだ。
ACE OF SPADESの素晴らしいところは、彼らがACE OF SPADESだけではないところだ。
リーダーはGLAYで、フロントマンはEXILEで、リズム隊もそれぞれの仕事を多く抱えている。
それは、一側面から見れば、頻繁な活動が制限される理由でもある。
しかし、今の私はそれが的外れであることを知っている。
2012年、真夏の夢のような期間限定プロジェクトとして始動したACE OF SPADESは、7年の間それぞれの場所で表現を磨き、活動の幅を広げ、その上で2019年に、“本気”を叫ぶ“現実”として戻ってきた。
それはきっと、これからも。
何度だって言おう。ACE OF SPADESはまだ旅の始まりにいる。
怖がることはない。そこには愛があり、祈りがあり、そして、バンドがある。
ベールに飛び込んだその先の光景は、まだ誰も知らない。きっと、ACE OF SPADES自身でさえ。
でも、絶対に楽しいよ。そうでしょう?
なんたって彼らは最強のカード。エースオブスペーズなんだから。
余談
全部邪推でしょ、妄想でしょ、と言われたら、はっきり言って、邪推で妄想である。
繰り返すが、現実がこうだ、と言いたいわけではない。この文章は最初から最後まで、正気を失った信頼できない語り手による幻覚の記録である。
最初はもうちょっと備忘録的にというか、事実ベースで書こうと思っていたはずなのだが、おかしいな、普通に認知の歪み巨大感情羅列文になってしまった……。
もしこれを読んでくださった奇特な方がいらっしゃったら(いるのか?)ひとつお願いがある。
事実の誤認識や誤解釈、見落としている文脈や資料に気付かれたら、もし気が向いたらで構わないので、教えていただけないだろうか。
Twitter(@the_asahi771)のリプでも、DMでも、コメントでも、マシュマロ(https://marshmallow-qa.com/the_asahi771?utm_medium=url_text&utm_source=promotion)でも、なんでもいいので……。
私の見ている現実は私の見たい現実でしかありえないし、それでいいと思っている。けれど、なるべく色眼鏡の色を薄くしたい、とも思っている。ほんとうに。
これを書いた目的のひとつは、それかもしれない(ひとりで永遠に考えているとマジでどんどん考えが傾いていってどうしようもなくなるので……)。
そんな感じで、このクソ長いだけの文章は終わりです。
2019年10月11日現在の私には、世界がこのように見えています。
明日の私がどうかはわかりません。
それでも、ACE OF SPADESが好きであるという気持ちだけは変わっていなかったらいいな、と思います。
そして、今の私が考えるに、これはかなり実現可能性の高い願いです。
そうであることをさいわいに思います。
2019年10月11日
あさひ
参考文献
期間限定GLAY×EXILE OFFICIAL SITE(https://glay.exile.jp/index.html)
『HAPPY SWING』37号
EXILE「EXILE LIVE TOUR 2005~PERFECT LIVE “ASIA”~」(2006年3月29日、rhythm zone)
EXILE「EXILE LIVE TOUR”PERFECT LIVE 2008”」(2009年3月18日、rhythm zone)
BARKS「EXILE・TAKAHIROとGLAY・HISASHIらのバンドACE OF SPADES、EXILEのライヴに緊急参戦」(2012年7月2日付、https://www.barks.jp/news/?id=1000081063)
『GiGS』(2012年10月号、シンコーミュージックエンターテイメント)
『WHAT’S IN?』(2012年9月号、株式会社エムオン・エンタテインメント)
「RX-72」#43(2012年7月28日、MUSIC ON!TV)
『Rolling Stone SPECIAL EDITION 完全保存版『HiGH&LOW』の世界』(2016年7月、パワートゥザピープル)
「BARKS【インタビュー】〈ルナフェス〉SUGIZO編、『ただただ音楽そのものに貢献したい』」(2018年6月8日付、https://www.barks.jp/news/?id=1000156053)
「SugizoTube」(2019年2月22日付、https://ch.nicovideo.jp/SUGIZOofficial/blomaga/ar1733962)
「GLAY公式サイトWEBインタビュー Vol.77」(2019年2月22日付、https://www.glay.co.jp/interview/)
モデルプレス「EXILE TAKAHIRO&HISASHIが語る“夢”─夢を追う人、探す人へメッセージ「今ある目標に達することだけが正解ではない」「今は可能性だらけの世界」〈ACE OF SPADESインタビュー〉」(2019年2月28日付、https://mdpr.jp/interview/detail/1824003)
Real Sound「TAKAHIRO×HISASHIが語る、ACE OF SPADESの軌跡『メンバーの絆も強くなった』(2019年3月9日付、https://realsound.jp/2019/03/post-321181.html)
日刊スポーツ「TAKAHIRO、憧れGLAYとの共演に大興奮」(2019年3月24日、https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201903230000773.html)
JAPAN Bilboard「GLAY 10万人ライブで7大発表、『解散はしません!』と力強い宣言も」(2012年7月30日、http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/6128/2)
GLAY「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」(2015年2月14日、loversoul music & associates)
RealSound「TAKUROが明かす、“4人の個性”を生かした理由「GLAYの看板を背負う覚悟とタイミング整った」」(2017年7月12日付、 https://realsound.jp/2017/07/post-90850.html)
LivedoorNEWS「音楽じゃなくて、GLAYが好きなのかもしれない。HISASHIが見つけた「天職」」(2019年9月30日付、https://news.livedoor.com/article/detail/17158682/)
GLAY「GUILTY」(2013年1月23日、loversoul music & associates)
EXILE「STAR OF WISH」(2018年7月25日、rhythm zone)
ACE OF SPADES「WILD TRIBE」(2012年8月22日、rhythm zone)
BARKS「EXILE、新メンバーの呼び名は“TAKAHIRO”」(2006年9月23日付、https://www.barks.jp/news/?id=1000027055)
『月刊EXILE』(2009年12月号、株式会社フラックス・パブリッシング)
Mens JOKER「新作ミニアルバムの制作秘話や
2018年に再始動するEXILEの活動への思いをたっぷり語る
EXILE TAKAHIRO インタビューWEB特別版」(2017年12月20日付、https://mensjoker.jp/34991)
『HAPPY SWING』71号
『GLAY DEMOCRACY 25TH BOOK』(2019年7月31日、株式会社リットーミュージック)
「RX-72」(2011年5月27日、MUSIC ON!TV、https://www.nicovideo.jp/watch/so28869354?ref=search_key_video&playlist=eyJpZCI6InZpZGVvX3dhdGNoX3BsYXlsaXN0X3NlYXJjaCIsInNlYXJjaFF1ZXJ5Ijp7InR5cGUiOiJrZXl3b3JkIiwicXVlcnkiOiJSWC03MiAyOSIsInBhZ2UiOjEsInBlclBhZ2UiOjMyLCJzb3J0IjoiK2gifX0&ss_pos=7&ss_id=f69d883b-26bb-43bb-98d5-5df729d8297a)
「GLAY MOBILE」(http://sp.glaymobile.jp/)
「スッキリ」(2019年2月22日、日本テレビ)
※ウェブサイトは全て2019年10月11日閲覧